2010年は、ソーシャルメディアが大きく花開いた年である。その代表格がツイッター。国内の利用者数は今年アタマに500万人だったのが、あれよあれよと、今や1000万人超え。もはや、その影響力は既存のマスメディアと肩を並べるほどである。
消費者が、ネットやケータイで情報を入手するようになって久しい。今や有名人ブログからヒット商品が生まれることも珍しくない。だが、顔の見える人たちが情報を発信する点では、実はマスもブログも構造は同じ。それに対し、ソーシャルメディアは、顔の見えない、普通の人たちの“盛り上がり”から情報が生まれる点で、革新的である。
一例を挙げる。先日、東京・赤坂にオープンしたアメリカ発のレストラン「フーターズ」の日本1号店。ナイスバディのウェイトレスたちがフレンドリーに接客するのが売りだが、オープン前に最も盛り上がったメディアが、ツイッターだった。まず、アメリカなどでフーターズ経験のある人たちがつぶやき始め、徐々にタイムラインを賑わすようになった。一度に書き込めるのが140文字と短いツイッターでは、単純明快なコンセプトが伝わりやすい。白のタンクトップにミニスカートのビジュアルは瞬く間にツイッターで拡散し、10月25日のオープン日には、100人以上が列を作る異常な盛り上がりになった。更に、並んでいる人たちがツイッターでつぶやき、それを見た人たちが押しかけ……。
政治に例えるなら、マスメディア発の情報を中央集権型、ブログ発の情報を地方分権型とすると、ソーシャルメディア発の情報は、いわばスイスなどで見られる直接民主制。国民のニーズがダイレクトに反映されるという意味では、直接民主制とソーシャルメディアはよく似ている。情報の世界も、民主化の時代なのだ。