ネット広告費9.6%増、マス4媒体は1.9%減
電通が23日発表した2010年の総広告費「日本の広告費」によると、昨年の国内広告市場は前年比1.3%減の5兆8427億円だった。前年割れは3年連続ながら、11.5%減と急落した09年から急ブレーキが掛かった格好。媒体別でテレビが上向きに転じるなど明るさも見られた。媒体費と広告制作費を含めたインターネット広告費は9.6%増で、総広告費に占める割合は13.3%(09年は11.9%)と存在感を示した。
ゆるやかな景気回復と企業業績の改善を背景に、大手広告主などで出稿意欲が戻り始めた。2010年はバンクーバー冬季五輪やサッカーのワールドカップ(W杯)南アフリカ大会、上海万博などの大イベントも開催されたほか、エコカー減税やエコポイントなどの景気刺激策なども広告需要を押し上げた。特に年後半に回復傾向が見られ、マス4媒体広告費の四半期ごとの前年同期比によると、1~3月の5.6%減に比べ、10~12月は0.4%と上回った。
媒体別では、09年に2ケタ減だったテレビ広告費が1.1%増とプラスに転じた。内訳は、活況を呈したスポット広告が6.8%増と躍進した一方、番組(タイム)は6.1%減となり明暗が分かれた。新聞、雑誌、ラジオは09年に続いて前年割れしたため、マス4媒体広告費では1.9%減だった。
21業種中8業種で出稿増 出稿意欲の改善傾向示す
インターネット広告費は9.6%増の7747億円。内訳は、媒体費が11.5%増の6077億円、インターネット広告制作費が3.0%増の1670億円だった。09年のネット広告市場は1.2%増とやや足踏みしたが、再び増加基調に転じた。さらに媒体費の内訳を見ると、PC向けは10.4%増の4876億円、携帯向け(モバイル広告)は16.5%増の1201億円と、引き続きモバイル広告市場の成長が目立った。検索連動型広告も引き続き好調で、PC向けが19.0%増(2035億円)、モバイル向けが27.2%増(285億円)。衛星メディア関連広告費も成長を続けており、BS放送(10.6%増)、CS放送(8.6%増)、CATV(13.2%増)ともに前年を上回った。
広告主業種別では、「家庭用品」「ファッション・アクセサリー」など、21業種中8業種が前年比で増加した。09年に前年を上回ったのは1業種にとどまっており、出稿意欲の回復傾向をうかがわせた。