電通は14日、製薬企業向けに病気(疾患)の気づきや受診を促す広告のプランニングを支援するためのシステムを発表した。糖尿病やがん、高血圧症などの生活習慣病や、うつ病などこころの病気を含め、111の病気について合計3万人を対象に実施した調査結果を元にしたもので、どれだけ広告に投資すれば受診患者が増えるかを事前に推測でき、広告投資の最適化が図れるという。同社内の医療分野専門チーム「電通メディカル・ビジネス・ユニット」が運営する。広告主の製薬企業にとっては、受診患者数が増えれば薬剤処方の機会が増すため、売上向上につながる。
支援システムはおおまかに、「広告ターゲット像の特定」、受診を阻む各病気のイメージ要素の分析を元にした「広告メッセージの開発」、受診患者数を増やすための「目標認知率の推測」で構成される。受診を阻むイメージ要素は、「受診が恥ずかしい」「症状を自覚しにくい」など29項目の尺度で111の病気を調査した。加えて、各病気の受診経験者と未受診者で、病気に対する知識やどれだけ深刻に捉えているかなどの意識の違いを調べた。
電通メディカル・ビジネス・ユニット担当者は、「商品・ブランドのイメージが購買行動を左右するのと同様に、病気にもある種の『ブランドイメージ』があり、受診を抑制したり促したりするのではと考えた」という。また、病気そのもののイメージのほかに、それぞれの病気が「生活の質」(クオリティー・オブ・ライフ=QOL)にどれだけの影響を及ぼすか、という印象も調べた。例えば、にきびがQOLに及ぼす影響と、生活習慣病のそれとでは、後者のほうが影響度が高く、それだけ受診を促しやすい。
同担当によると、進行の初期段階と、すでに自覚しつつある疾患とでは効果的な広告表現が異なり、前者では病気の「恐怖」をアピールするものが比較的効きやすく、後者では受診による安心を訴えるものが受け入れられやすい傾向があるという。