テレビCMや多様な動画CMなどをインターネット上で一堂に閲覧できるWebサイト「CMer(シーマー)TV」が10月3日にオープンする。今年7月に設立された同名のCMerTV社(東京・千代田)が運営する。
テレビCMのネット配信は権利処理の複雑さから難しいとされてきたが、同社は日本音楽著作権協会(JASRAC)など4つの著作権管理団体と包括的な音楽著作権使用料についての契約を結ぶことでクリアした。商品選択や購買を後押しするプロモーションメディアのひとつとして、広告主の活用を促したい考えだ。同社の五十嵐彰社長に今後の方針を聞いた。
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テレビ広告市場の活性化を後押し
企業は相当な金額をかけてテレビCMを制作、放映しているにもかかわらず、権利処理の問題から他の用途に使うことが難しかった。「掛け捨て」とも言われるゆえんで、どれも素晴らしい映像であるにもかかわらずもったいない。我々はこのサービスを立ち上げることで、テレビCMの再価値化のお手伝いをしたいと考えている。
一方で、インターネット動画の分野に高い成長性を感じたことも当社を立ち上げた理由のひとつ。タレント事務所などでは、これまでネットへの掲載を厳しく管理してきた事務所も徐々に緩和していくところも出てきている。ネット上で動画コンテンツを視聴する機運はより高まっていくだろう。
ユーザーはサイト上で、同一業種やカテゴリーのCMを横並びで一斉視聴できるのが特長だ。クルマの購入を検討しているのであれば、オンエア中のCMをチェックしながらお気に入りの車種を選び、資料請求したり、さらに詳しい情報を求めてサイトにアクセスしたりすることができる。CMの検索はタレント名や「ドライブ」など特定のキーワードでも可能。消費を刺激する今までにないメディアとしての地位をいち早く確立したい。
地域のブランド支援でPR動画も制作
ユーザーには課金せず広告主から掲載料をいただくビジネスモデルで、料金は月額10万円からの定額制と表示回数に合わせて課金する変動制と2つの料金体系がある。ほかにもオプションで資料請求を受け付けたり、CMのメイキング映像を掲載したり、マーケティングデータとしてサイト来訪者の詳細なレポートを提供することもできる。
このほかテレビ東京と提携し、同局で放映されているCMのうち広告主の許諾が取れたものから順次掲載していく予定だ。ネット上の登録素材は、3年後に1万素材を掲載したいと考えている。テレビ広告市場の1%に相当する200億~300億円の底上げを目指し、動画CM市場の活性化につなげたい。
ナショナルブランドのテレビCMだけでなく、地方の中小企業のPR動画なども積極的に掲載していく。また、インターネットならではの動画CMや簡易なPR映像の制作も請け負う体制を整えた。地域企業やブランドを後押しし、その結果それらの企業がテレビCMを出せるまでに成長できれば素晴らしいことだと考えている。(談)
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CMerTV(10月3日オープン)
URL:http://cmertv.com/