日本においても米国においても近年ショッパー・マーケティングの重要性の認識が促進していることについては共通するところ。店頭におけるデジタル・サイネージなどのインストア・メディアについても研究がされています。
マス・メディアのパワーの低下、媒体の多様化、個人が得る情報量の変化等の背景から、売場を持つ流通小売業でも、このインストア・メディアに注目をしています。
例えば、米国でディスカウント・ストア部門で売上1位のウォルマート(約6500店舗)では1週間で日本の総人口以上の来店客(1億4000~5000万人)があり、日本のセブン‐イレブンでも全店(約1万3700店舗)で1週間で7000~8000万人の来店客があると聞きます。店頭・売場を新しいメディアとして捉え、新たな効果を模索する取組みが行われています。7&iグループのWi-Fiの活用は代表的なケースです。
米国のウォルマートでは、5年前から生鮮売場や冷凍食品売場にストア・ワイドビジョンを設置。約1200店舗でネットワークを導入し、新店舗には随時導入を行いました。ストア・ワイドビジョンで紹介される内容は、主に「新製品の紹介」「メーカーの販促キャンペーンや食品を中心にメニュー提案」「カード会員への特典」等。
また、エンド・キャップでは、ディスプレイを設置して部門や製品ごとにカスタマイズされた映像を流しています。現在、ウォルマートでは、一部の店舗で女性の顔を撮影して様々なシュミレーションを行う「イージー・フェイス」等を新しい試みとして行っています。
しかし、米国の他の流通小売業を見るとデジタル・サイネージを本格的に導入している店舗は見られません。投資する費用と期待する効果において、まだ明確な答えが出されていない表れです。
買物を少しでもお得に、そして早く済ませたいと思うショッパーに応えきれる〈コンテンツ〉でなければ成り立たないと言うことです。また、それを達成するためのテストやトライアルを行いながら、リーチしアクションに繋げるストーリーや最適なシステムを作ることが必要です。
デジタル・サイネージをインストアではなく店外で使用して、買物客にお店に来てもらうのではなく「お店がお客さんのいるところに行こう」と言うコンセプトで行ったユニークなプロモーションの事例があります。(韓国に進出した英国のスーパーマーケットチェーン“TESCO” 韓国で”Homeplus”という名前のスーパーとして展開)これは、韓国の駅のホームのガラスの壁を『売場の棚』に見立て製品の画像を一面に貼付して、製品の画像と一緒に印刷されているQRコードをスマートフォンで読み取ると、インターネット上の買物カートに自動的に製品が追加されるというもの。そして、購入した製品は自宅に配送されます。
このバーチャルストアは大きな話題となったそうで、期間中のネット・スーパーの会員数は75%増加したと聞きます。デジタル・サイネージにとって重要なことは、ショッパーを魅了するコンテンツと優れた仕組み作りと言えます。
次回のテーマは
「アロハシャツを着た店員さんと、これぞ!手書きのPOP」