多メディア化が進む中で「テレビの役割は今後も揺らぐことはない」と番組製作者、視聴者の6割が賛同

放送倫理・番組向上機構(以下、BPO)の「放送と青少年に関する委員会」は、テレビ番組制作者666人と視聴者への意識調査を実施した。調査対象は、在京テレビ局のドラマ・バラエティ制作者666名と一般視聴者752名。調査内容は、テレビ制作・番組内容について、テレビ放送の将来について。

新たなメディア環境の中で、テレビ放送の将来像について調査したところ、番組制作者と一般視聴者ともに、「娯楽や情報の主要な供給源としてのテレビの役割は今後も揺らぐことはない」に対し、「そう思う」と答えた番組制作者は53.8%、一般視聴者は60.2%という結果が出た。


全体的に楽観的な結果を示しているものの、放送局による違いがある。NHK(42.8%)よりも民放の人たちが楽観的な展望を示していることがわかった。一番数字が高かったのはTBSテレビで64.9%、一番低かったのがテレビ東京で42.0%。

「高齢者がテレビを楽しみに見ていることに変わりはない」については、番組制作者は88.6%、一般視聴者は79.0%が賛同。「さまざまな人々に共通の話題を提供するテレビの役割は依然として大きい」については、番組制作者は81.8%、一般視聴者は73.4%と、きわめて高い賛同率を示している。一方、「若い人たちの間でテレビ離れが進んでいる」についての賛同率は、番組制作者は77.0%、一般視聴者37.5%という結果に。制作者と一般視聴者の間に意識のズレが生じている。

また、「番組の評判がよくても、視聴率が悪ければ、くやしくなる」84.2%、「番組を作るときには、どうしても視聴率のことを考えてしまう」83.7%と、8割以上が視聴率を強く意識している一方で、「番組の評判が悪くても、視聴率がよければ、それでよい」は64.5%で、反意を示す結果。「視聴率」と番組の内容や質との微妙な相関関係が露わになっている。

BPOでは、これらを含む番組制作者と一般視聴者の見解や認識をまとめた調査結果を、2月10日に開催する公開シンポジウム「“新時代テレビ” いま、制作者たちへ」にて発表する。第一部は、慶應義塾大学メディア・コミュニケーション研究所教授・青少年委員会委員である萩原滋教授による調査結果の報告、第二部では「“新時代テレビ” ~いま、制作者たちへ~」をテーマに、演出家・杉田成道、評論家・宇野常寛、テレビコラムニスト・桧山珠美、青少年委員会委員長、白梅学園大学学長・汐見稔幸がパネリストとして参加。青少年委員会委員・ジャーナリストの小田桐誠氏がコーディネーターを務める。当日は、第1部、第2部共にUstreamでの生中継を予定している。

参加希望者は、BPOサイトもしくはファックスにて申し込みのこと。先着順で200名の定員となる。

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