※本記事は宣伝会議5月15日号の特集「浸透するSNS “相互監視”社会の消費者心理」からダイジェストでお届けします。
スマホ所有者と非所有者 プライバシー意識の違い
三菱総合研究所とgooリサーチでは2012年4月、「携帯電話等の『位置情報サービス』に関する調査」を実施した。両社は2009年にも同様の項目で調査を行っており、スマートフォンユーザーの急増とともに、位置情報などのプライバシーに対する意識の変化が見られるかを2009年・2012年の両調査から比較するのが目的である。
まず「位置情報を公開する」といった行為に対するプライバシー意識はどのように変化しているのだろうか。結果は図1のとおりで「○○の店にいる」「○○の町にいる」といった場所・空間の詳細さ(空間的精度)、位置情報を送信する頻度(時間的精度)を見ると、この3年でそれほど大きな変化は見られない。「抵抗がある」と答えた割合も、2009年と2012年でほぼ同等の結果となった。
ところが、スマートフォン利用者・非利用者別にプライバシー意識を見てみると、図2のとおり、著しい変化が見られた。位置情報を提供することに対する抵抗感は、スマートフォンユーザーの方がスマートフォンを利用していない人に比べて、「空間的精度」では13.0ポイント、「時間的精度」では14.0ポイント低いことが分かる(図2)。
また図3のとおり、一般消費者が「チェックイン(位置登録)を許可する企業」「許可したくない企業」に関する調査項目では、「プライバシー保護の認証を取っている」「情報セキュリティの認証を取っている」といった基準を満たす企業への評価が高い。ユーザーは企業のブランド力や技術力よりも、プライバシーやセキュリティの認証を重視しているという実態がわかる。その一方で、「その店舗で使える割引クーポン」といった明確な報酬があることで、53.4%のユーザーが「チェックインしても良い」と答えている。
※本記事の詳細、および米国のロケーションサービス動向、日米ユーザー比較などは、5月15日号に掲載した三菱総合研究所の松崎和賢氏による寄稿「SNSで気軽にチェックイン スマホ普及で薄れる抵抗感」をご覧ください。
調査概要
NTTレゾナント「gooリサーチ」+三菱総合研究所
「携帯電話等の『位置情報サービス』に関する調査」
調査時期・回答数:第1回(2008年12月・回答数2077)/第2回(2012年4月・回答数2214)
調査方法:いずれも「gooリサーチ」の一般消費者会員モニターを対象とするインターネット調査