ロッテのロングセラー商品「チョコパイ」は2013年に発売30周年を迎える。そこで今年8月に大幅な商品リニューアルを行った。それに伴って現在 、来年9月まで続く長期的なプロモーションキャンペーンを実施している。テレビCMとPRイベントなどによる刷新後の品質訴求とともに、1個30円の有償サンプリングなどで、トライアル購入を促した。
今回、通常の6P、8Pに加え、1Pを発売した。そのことによって、新規「チョコパイ」顧客をどれだけ取り込めたのか。また、ターゲット層とした30〜40代主婦層の反応はどうかを軸に分析した。
まず、今回のプロモーションの効果を検証するため、9月3日〜11月18日の女性の購買状況を調べた。すると、「チョコパイ1P」は、若い年代ほど購入率が高いという結果となった。これは6、8Pのパックタイプとは異なる動きだった。
また、1Pについては一人あたり購入個数が2.83個となり、特に40代、70歳以上が高い結果となった。さらに、1Pはまとめ買いも生じていた。トライアルを促すために1Pを販売したので、それによる新規者の取り込みがどうだったかを見てみる。新規者の確認期間を、集計前13週にチョコパイ全体の購入のない顧客を「新規者」として検証した。
すると、チョコパイ1P購入者のほとんどがそれまで購入していなかった人だった。このことから、トライアルの目的は果たせたと言える。また、新規者の年代別構成比を見ると、40代の割合が24.6%と最も高かったことから、ターゲットに有効な施策だったと言えそうだ。
最後に、1P以外の6P、8Pのパック商品について見てみる。すると、すべての年代で購入者人数と購入率が大きく上昇。1人当たり購入個数も20歳以下、60代を除く世代で前年を上回った。ただ、商品そのものが6P、8Pと複数個入っていることから、まとめ買いの促進ということにはつながっていなかった。
今回、1Pを投入したことにより、確実に新しい層に訴求することができた。今後は、これを6P、8P商品の継続的な販売に結びつけることが求められる。
検証1:P購入者の40代、70代は1人当り購入数も多い
購入率は、年代が若いほど高い結果となったが、1人当たりの購入数が多かったのが、40代、70歳以上の層。1個あたりの金額も安く、手軽に購入できることから、平均で個数も2.83個となった。
検証2:1Pの投入によって新規購入者が増加
トライアルを促進する目的で販売した1Pの購入者のほとんどが新規者。新規者構成比を年代別に見ると、特にターゲットである40代女性の割合が高かった。
検証3:6P、8Pの購入者・購入率も大幅増加
大幅なリニューアルによって、全年代で購入者・購入率が上昇するという効果が見られた。さらに1人当たり購入個数も増加。今回の施策は一定の成果をあげたと考えられる。
調査概要:カスタマー・コミュニケーションズ(株)が保有する全国食品スーパーの顧客ID付POSデータを使用。食品スーパー150万人のデータから全国の購買を対象に分析した。来店客のポイントカードなどによって顧客識別を行い、一人ひとりの購買履歴を収集することで、より深い購買分析が可能となる。
【シリーズ 『TOP PROMOTIONのその後』】
- ダノンビオ 14日間チャレンジキャンペーン〜販促会議1月号より
- 全国6都市を回って商品アピール!売上個数・金額が大幅アップ〜販促会議12月号より
- パッケージ全面リニューアルで購入人数、売り上げとも大幅アップ!〜販促会議11月号より
- 「みんなで飲む」が伝わり1回当たり購入個数が伸びる〜販促会議9月号より
- 取扱店が大幅に増え10代~20代の購入も増加!日本コカ・コーラ~「Strike! Splash! Sprite!」キャンペーン~販促会議8月号より
- 若年層の購入増加率が目立って上昇 ノンシリコン以外から顧客を取り込む~販促会議7月号より