“Online”と“Offline”のユーザー行動をつなぐ「共通キー」

あらためて“O2O”とは何か

前回は、今こうして“O2O”が注目される以前にも「クリック&モルタル」と呼ばれるインターネット上で告知を行い、実際の店舗への誘導を行うマーケティング手法が行われてきたことをご紹介しました(何てことのない当たり前の話ですが)。

ではあらためて、“O2O”とは何なのか。を考えていきたいと思います。

“O2O”は、「Onlineでのユーザーデータ」と「Offlineでのユーザーデータ」を紐付けて把握し、マーケティング活動に活用するということ、と軽く触れました。

インターネット上で割引クーポンを印刷して持って行く、または割引の画面だけを見せるなどのアクションでは、“Online”でのトラッキングと“Offline”でのトラッキングが紐付かないことになり、今議論している“O2O”の領域のサービスとは言えません。

何が“O2O”と呼んで良いサービスの形なのか整理するために言葉の定義をしてみます(様々な定義があるかと思いますが、ここでは下記の解釈を持って整理を進めていきます)。

“Online”と“Offline”、とはどういう状況を指し示しているのでしょうか。

“Online”とは“On Web”。つまりPC・スマートフォンなどのデバイスを区別せずブラウザやアプリからアクセスするインターネット上にユーザーの行動の目的がある状態。

“Offline”とは、“On Real”。ユーザーの行動の起点が実店舗であったりイベント会場であったりと、ネットワーク(インターネットに限定せず)にアクセスできる環境でありつつも、ユーザーの主たる行動の目的がリアルにある状態。

とてもややこしい書き方をしましたが、“O2O”が成立している環境である時点で、“Offline”と規定される場所・環境においても、デジタル的処理・ネットワークへのアクセスは行われているはずです。そのあたりの整理をしないと何でも“O2O”になってしまいます(店舗内だけで使うアプリなどは“O2O”の“Offline”の役割を担っているとは言えないでしょう)。

そのプロモーションは“O2O”なのか?

Webサイトやアプリ経由で、近くのカフェをさがして来たお客さんが居たとして、その人がただ単に割引クーポンを見せて、コーヒーを50円引きで飲んで帰った。これを“O2O”のアプローチと読み解く方はいらっしゃるでしょうか?

これは、“O2O”のアプローチが注目される前のこれまでのインターネットメディアそのものであり、これを“O2O”とするのは違和感を覚えます。

ただ、割引クーポンにユーザーの個体識別IDが振られており、店舗側でその控えを取り、お会計情報とともにインターネット環境で管理され、翌日などに新しい割引クーポンが送られる環境があるとするとどうでしょうか?“O2O”的な匂いがしてきました。

“Online”と“Offline”をつなぐには、ユーザーの行動をつなぐための「共通キー」が必要になってくることが見えてきました。(当たり前ですがw)

「クリック&モルタル」はインターネットから店頭への誘導動線でした。これに比べ“O2O”は“Online”と“Offline”、この2つのデータを「共通キー」の活用によって、ユーザーのアクションに対してアプローチ行うことができるというのが、「クリック&モルタル」との違いなのです。

では、“O2O”は“Online to Offline”なのでしょうか?
それとも、“Offline to Online”なのでしょうか。
またまた、その両方を指し示すものなのでしょうか?

次回は、そのあたりの話から入っていきます。


【吉羽 一高「汐留で使われているO2Oの教科書」バックナンバー】

吉羽 一高(電通デジタル・ビジネス局 アート・ディレクター)
吉羽 一高(電通デジタル・ビジネス局 アート・ディレクター)

電通デジタル・ビジネス局メディア企画部、アート・ディレクター。
SEMやYou Tubeのメディア価値測定など新しい価値尺度の算出やテレビと組み合わせたリッチメディア広告の立ち上げなどを経て、現在は、Google、Facebook、Twitterなどのプラットフォームを活用したコミュニケーション設計・プロダクト開発、iPhone/Android向けのアプリケーション制作担当。また、テレビ・新聞・雑誌などのメディアとインターネットのクロスメディア戦略やサービス開発なども手がける。

吉羽 一高(電通デジタル・ビジネス局 アート・ディレクター)

電通デジタル・ビジネス局メディア企画部、アート・ディレクター。
SEMやYou Tubeのメディア価値測定など新しい価値尺度の算出やテレビと組み合わせたリッチメディア広告の立ち上げなどを経て、現在は、Google、Facebook、Twitterなどのプラットフォームを活用したコミュニケーション設計・プロダクト開発、iPhone/Android向けのアプリケーション制作担当。また、テレビ・新聞・雑誌などのメディアとインターネットのクロスメディア戦略やサービス開発なども手がける。

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