“丸投げ”では、よい仲間は集まらない。
先週末に福島県南相馬にボランティアに行ってきました。僕は宮城県名取市出身なのですが、岩手県や宮城県の沿岸部などと比べて、福島県の沿岸部は原発の問題もあり、まだ大きな瓦礫などの撤去もままならない状況。僕たちがお手伝いした農家も津波が来た状態から2年以上も放置に近い状態でした。その農家の窓や扉を全て外し、中でごっちゃになっている家具を運び出し、いるモノといらないモノを選別し、ゴミとして運び出しました。正直なところ、2年経った今でも、まだまだ復興とはほど遠い状況にあることを改めて認識したし、まだまだボランティアも必要な状況ということが分かりました。
このボランティアは日本アドバタイザーズ協会Web広告研究会に参加している企業(ワンパクも参加)の有志で行っている、東日本大震災被災地支援プロジェクト”東北セミボラ”という取り組みによるもので、関東や関西でデジタルマーケティングやWeb制作などに関わる方々に、東北に行ってもらうきっかけをつくるために、仙台で行う「セミナー」と沿岸部で行う「ボランティア」をセットにして今回も入れて計4回実施しています。次は秋に開催する予定ですのでご興味のあるかたはぜひ参加いただければと。
さて、ここから本題。前回は企業のオウンドメディアがプラットフォーム化するにあたっての企業側(発注側)の抱える課題(問題)についてお話しました。
そもそもリソースが足りない、プロジェクトをどうすれば進めていけるのか分からない、戦略も施策を立てなければならないのに社内だけではまとまらない、良いアイデアが出てこない、正直どうして良いか手詰まりだよ、などなど。
ではこれらの問題に企業はどう立ち向かっていけば良いのでしょう。
そのためには企業側(企業担当者)の意識の改革と、僕たちパートナーであるエージェンシーやプロダクション、ツールベンダーやシステムデベロッパーの存在が鍵を握っています。今回よりそれらをお話していきましょう。
まずはチームビルディングのお話から。プロジェクトを推進する上では「どれだけ熱く、強く、優秀なチームを作れるか?」、つまりチームビルディングはとても重要です。
プロジェクトは必要な様々なスキルセットをもったスペシャリスト達を集め、チームとして目的やゴールを共有しながら共に前に進んでいかなければなりません。また前のめりの姿勢や熱意といったマインドセットもスキルセットと同じくらい重要です。
このような自分に無い能力を持ったメンバーや、自分自身をサポートしてくれるメンバーを社内外問わず、自分で判断した上でアサインできるかがプロジェクト成功のための第一歩になります。
それを実現するには企業側(発注側)の担当者は、常にマーケティングのトレンドやテクノロジー、クリエイティブを学ぶために、同じ境遇にいる企業同士の担当者の交流を通じて情報交換を行い、常に自分に有益な情報や優秀な仲間が集まってくる環境に身を置けるかが鍵になっています。
実際に僕の周りにいるデジタルマーケティングやWeb担当者の方々はとても勉強熱心だし、宣伝会議のフォーラムやad:tech、Web広告研究会などのリアルなイベントを通じてSNS上でもつながり、恐ろしいくらいの情報収集のためのネットワークを築いています。
当然ながらその情報の中ではパートナーとして信頼できるエージェンシーやプロダクション、ツールベンダー、デベロッパーなどの情報も交換されている訳です。
逆を言えば、僕たちはそこで交換される情報として、きちんと自分たちの価値を伝えていかなければなりません。そのためには日頃からケーパビリティ(能力、才能、可能性、将来性)を正しくプレゼンテーションできるようになっておく必要があります。
ワンパクではこのケーパビリティプレゼンを大切にしています。会社の基本情報や事業ドメイン、取引先や事例だけではなく、ワンパクのプロジェクトの進め方、プロジェクトへ対するスタンス(身の置き方)、プロジェクトの様子(写真など)、何を以てこのようなプロジェクトスタイルになったのかなどを日頃から説明するようにしています。
「そんな面倒なことやってられないよ」という企業担当者、エージェンシーやプロダクションの方もいるかもしれません。
しかしながら、一昔前のように、大手エージェンシーや大手プロダクションを集めて、提案コンペを行い、結果、丸投げして”プロジェクトを進めてもらう”やり方では、そもそもその先にどんなチームがいるかもわからないし、企業自ら覚悟と主体性を持ってやらなければ、オウンドメディアは決して良いものにはならないし、生活者や顧客に価値を感じてもらうこともできないと思います(大手エージェンシーや大手プロダクション批判ではなく、企業側(発注側)の意識の問題を指していますので悪しからず)。
また、日本には旧来より発注側上位、受注側下位の下請け文化が強く根付いています。お金を払う側といただく側という観点では、この文化は完全に払拭できないことは確かだと思います。しかしながら、この構造を楯に取るような仕事の仕方をしていて、熱意を持って企業の課題解決のためのプロジェクトを一緒に推進するための信頼できる仲間や、パートナーが集まるでしょうか?
もはや企業規模の大小が企業価値を決める時代ではないのです。目的やゴールを達成するため適材適所で最適な人材を集めのチームビルディングを行うCo-Creativeの時代です。
このようにお互いがパートナーとしてWin-Winの関係を築いていくためにも、積極的に情報交換しておけば、皆さんのチームビルディング力は格段にあがるはずです。このコラムを読んでいただいている皆さん、今日からどんどんコミュニケーションしていきましょう!
さて、次回は課題解決へ向けた第2回目として「ビジネスへの深いコミットメント」、「プロセスデザイン力と協調型プロジェクト」についてお話します。お楽しみに!
【阿部淳也「HOTに行こうぜ!ワンパクの考えるオウンドメディアの未来」バックナンバー】
- 第4回 企業サイトのプラットフォーム化 超えるべき5つのハードル(4/4)
- 第3回 オウンドメディアはサービスプラットフォームに進化する(後編)(3/28)
- 第2回 オウンドメディアはサービスプラットフォームに進化する(前編)(3/21)
- 第1回 “Webサイト制作”という言葉じゃもう、語れない!(3/14)