消費者庁は7月1日付で「食品表示対策室」を設置するなど、食品に関する広告表示の取り締まりを強化している。6月に参院本会議で「食品表示法」が可決、成立したのを受けたもの。12日に都内で開催された、広告関係6団体主催の広告関連法務研修会で解説を行った。
登壇した消費者庁の片桐一幸・表示対策課長によれば、今年2月に先行して「食品表示担当班」を組織。景品表示法、健康増進法のそれぞれの担当者らが連携して虚偽広告や誇大広告の取り締まりを進めてきたが、一層の強化を図る。
調査員により“消費者利益を著しく損なう”として違反が認定された業者に対する「措置命令」の件数は、食品分野に限らず年々増加傾向にある。消費者庁が立ち上がった2009年の措置命令は12件だったが、翌年以降、20件(2010年)、28件(2011年)、37件(2012年)と推移してきた。
研修会では、認定されていないにもかかわらず「国連認定証」を取得したと謳ったペットボトル入り飲料水を販売したVanaH社(山梨・富士吉田市)への措置命令のケース(2012年12月)を紹介したほか、通信業界における不当表示についても解説。既報のとおり、料金表示やデータ通信速度と人口カバー率の表示について問題となっており、最近ではニフティ(12年6月)、イーモバイル(12年11月)、KDDI(今年5月)が措置命令を受けた。
新たな動きとしては「エネルギーやLEDなど新商材における不当表示も増えている」(片桐氏)といい、12年10月には太陽光発電システムによる得られる利益に関する不当表示の事案に対して三光ホーム(神奈川・相模原市)に、12年10月には一般照明用LEDランプを販売した12社に対して措置命令を出している。
会の終盤では、片桐氏が参加者からの質問に回答。「今後の食品表示法で義務化予定の栄養表示基準の内容について教えてほしい」という質問については、今後検討するという回答に留まった。また「措置命令が出されたのち、(広告を掲載した)媒体社はどのように対応すべきか」という質問には、「責任が問われるのは商品やサービスの供給主」と明言した。