【「広告なのにシェアされる」コンテンツマーケティング入門】
※バックナンバーはこちら
谷口 マサト(LINE 広告事業部 チーフプロデューサー)
×
境 治(コピーライター/クリエイティブディレクター/メディア戦略家)
真面目にやっても反応がない!?
――境さんは、谷口さんのコラムを読んでくださっていたそうですね。
境:はい。それで谷口さんみたいな発想の人が、どんなふうに生まれたのか気になっていました。
谷口:私は、もともとはIA(Information Architect / 情報設計家)なんです。商用サイトの問題点を特定し、根本的なリニューアルをするのが仕事で、以前はリクルートのカーセンサー、JAL、JTBなどを担当していました。
広告に関わったのは最近ですが、根本を見直すという意味では、やっていることは近いかもしれません。
境:ライブドアに入社してから、広告をつくることになったんですか。
谷口:いえ。ライブドアでも最初はサービス開発の部門にいて、広告に関わるようになってからは3年ほどしか経っていません。
以前から仕事とは別に、個人サイトの「chakuwiki/借力」で面白コンテンツをつくってはいましたが、それが仕事につながるとは思ってもいませんでした。
境:個人でやっていた活動をベースに売り込んで、クライアントさんを見つけてきたんですか。
谷口:クライアントさんの方が早くて、面白コンテンツを使った広告をつくれないかと相談が来るようになったんです。
境:コラムの1回目「広告“枠”買いから、広告“コンテンツ”買いへ。」で広告とコンテンツのハードルの話がでてきましたよね(1回目コラムより、図を引用)。僕もこの従来の広告の枠組みについては、同じような問題意識を持っていました。
谷口:最初の頃は、広告企画で真面目なコンテンツを何度かつくったこともあったんです。でも、あまり反応がないし、やっていてむなしくなってきまして。
境:ネットで真面目なことやっていたら、反応がなかった?
谷口:はい。最近、私に仕事の相談にこられるクライアントさんはよくおっしゃいますね。「真面目なことをやっていたけど、反響がないので、もう少し違う方法を考えたい」と。
境:広告なのにシェアされて、話題になることをクライアントさんも期待しているんですね。
谷口:でも、よく一緒に仕事をさせてもらっているクライアントさんが雑誌のインタビュー記事で「我々はウェブでは他社がしたくないことをしていく!」と話されていて、「えーっ!みんながやりたくないことだと思ってたの!?」ってちょっと驚いたんですけど(笑)。
ネットの世界はコンテンツをつくりたがらない文化があるし、あまりお金もかけられない。だからこそ広告とコンテンツが一緒になれば、ネットでももっと面白いコンテンツを作れるのではないか、と。特に私は個人でコンテンツをつくっていたので、ユーザー一人だけの力でつくれるコンテンツの限界も、感じていたんです。
ただ、こういう方向性を目指すと商品とコンテンツのエンゲージメントの問題がでてきます。それも、クライアントさん次第と言うか、商品をいじらせてもらえれば、解決できる問題だと思っています。