【D3】4月16日(水) 12:30~13:30
メディアの未来をつくるのは誰だ?
<登壇者>
- 朝日新聞東京本社 メディアラボ 竹下 隆一郎 氏
- 東洋経済新報社 デジタルメディア局 東洋経済オンライン編集長 佐々木 紀彦 氏
- 日本放送協会(NHK) 報道局 社会番組部 ディレクター 阿部 博史 氏
ターゲットを若年層にシフトして成功
——最近の取り組みについてご紹介下さい。
竹下:朝日新聞社内に2013年6月、新組織「メディアラボ」が立ち上がりました。既存のリソースを生かしながらも、報道や新聞という枠にとらわれずに新しい事業を進めていく“実験工房”のような組織です。事業の内容は「研究開発」「出資・投資」「プロダクト」が主なもので、社外のベンチャーキャピタルや様々な業種の企業と協力しながら、新ビジネスの開発を進めています。
佐々木:「東洋経済オンライン」はPV数やユニークユーザー数において、お陰さまでビジネス系サイトにおいてナンバーワンになりました。
成功した理由は3点あると考えています。ひとつ目はターゲット年齢を引き下げたこと。従来のビジネス系サイトは50代あたりがメインターゲットでしたが、「東洋経済オンライン」では20~40代に引き下げました。
2つ目は、ネット媒体のコンテンツを紙媒体から切り離しました。一般的に紙とネットの両方を運営している媒体の場合、紙媒体のコンテンツをネットにも掲載するというケースが多いと思いますが、「東洋経済オンライン」では9割がネット独自のコンテンツです。
3つ目として“サイトのオープン化”があります。“オープン化”とは、コンテンツの掲載場所を他のネット媒体にも広げていくことと、記事を自社の記者だけでなく、企業のビジネスパーソンに書いてもらうことを指しています。
阿部:私が担当したNHKスペシャル「震災ビッグデータ」では、東日本大震災発生後の人の動きなどを示す膨大なデータを集め、大震災を“ビッグデータ”から読み解きました。
例えば、カーナビの走行データやタクシーの走行記録から都心での渋滞の様子を解き明かすと同時に、渋滞が起きていなかった道も提示しました。渋滞が起きていないルートのデータを活用することで、今後もし大災害が起きたとき、1人でも多くの人命の救出につなげられるわけです。
メディアとして、こうした情報の発信は大変重要だと考えています。