【前回のコラム】「インナーマーケティングで顧客接点を広告化!」はこちら
「脱・広告」を宣言する理由として、「広告ありき」ではなく「人を起点としたマーケティング」が必要とされているという言い方もできるでしょう。
前回のコラムで、「顧客接点が広告塔になった時代、インナーマーケティングがより大切になってきた」というテーマを取り上げましたが、これもそのひとつです。
そして、これと裏表で関係してくるのが、アンバサダーマーケティングです。
アンバサダーとは、英語で「大使」という意味です。
つまり、アンバサダーマーケティングとは、自社ブランドのファンを「大使」として任命することで、口コミなどでその評判を広めてもらえることを期待するものです。
これはよくインフルエンサーを活用するプロモーションと誤解されがちですが、少し違います。
インフルエンサーは世の中への影響力が大きい有名人ですが、アンバサダーは影響力の大小の前に、そのブランドのファンであることが前提となります。
逆にいうと、ファンであれば、一般人でもアンバサダーの候補になるわけです。
これまでは、一般人の影響力は限られたものでしたが、今ではソーシャルメディアの普及によって、誰もが情報を発信できるようになりました。
こういった環境が整ってきたため、一般人をアンバサダーに任命し、これを起点としたマーケティングが可能になってきたのです。
例えば、ネスレの「ネスカフェ・アンバサダー」は、一般人をアンバサダーとした成功事例です。
これは「バリスタ」という家庭用コーヒーマシンのアンバサダーを募集するものです。
アンバサダーが所属するオフィスや病院や自治体などにバリスタを提供し、みんなにこのコーヒーを薦めてもらい、詰め替えコーヒーを購入してもらおうという狙いです。
アンバサダーへの応募者は10万人を超え、詰め替えコーヒーの売上もさることながら、みんなと一緒にコーヒーを飲んだ人が自宅用にバリスタを購入するという流れまでできているといいます。
狙い通り、アンバサダーに任命されたコーヒーファンが、周囲にいる人々を開拓してくれているのです。