日本テレビ放送網(以下、日本テレビ)は2014年10月4日より、新番組「SENSORS」の放送を開始する。「最先端のテクノロジーとエンターテインメントを“感じ”未来を創造する」を標榜する同番組は、今年の2月に日本テレビによる買収が発表されたネット動画配信サービス「Hulu」の事業も担う、インターネット事業局インターネット事業部が企画している(毎週土曜日25時50分~26時20分、関東ローカルでの放送)。
番組では毎回、テクノロジーとエンターテインメントを掛け合わせることで、これまでにない体験を創りだしているクリエイター個人やプロジェクトを紹介。特に「WEBサービス」、「ガジェット」などのデジタル領域に、「イベント」、「オタク(アニメ、ゲーム、アイドルなど)」、「アート(音楽、映像、映画、広告など)」の5領域を重点的に取り上げていく予定だ。
サイトは番組で取り上げた情報だけでなく、WEBオリジナルのコンテンツも制作・配信し、メディア化を図っていく。そして、このWEBとテレビをミックスした構想に、インターネット事業部が目指す、新しいメディアビジネスモデルの肝があるという。インターネット事業部担当部次長の三枝孝臣氏は「テレビ発のコンテンツをネットで展開しようとすると権利処理の手間とコストがかかりすぎて、活用できない状況が続いていた。この課題を解決するため、“ネットファースト”の番組として『SENSORS』を立ち上げた」と話す。
いつでもコンテンツ体験ができる場
この企画にはバスキュールの朴正義氏が携わっている。バスキュールと日本テレビは、これまで「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」で、スマホを通じてゲームに参加するイベントを仕掛けるなど、視聴の同時体験性を作り出すことを目的とするネットを掛け合わせた複数の取り組みを続けてきた。しかし「毎回、瞬間的に多くの視聴者が集まり、共時性が生まれても、その力を蓄積する場所がなかったため、瞬間芸で終わっていた」と朴氏。継続的にコンテンツを配信し続けることができるWEBメディアもつくることで、このパワーを貯めていける場づくりを目指したという。
また、三枝氏も「かつてのテレビには同時体験性があったが、タイムシフト視聴が進んだことで、その力が薄れてきていた。朴さんとは、この力をデジタル、特にスマホと連携させることで、再びつくろうと様々なプロジェクトを進めてきたが、次のチャレンジは、テレビとは少し離れたところに、継続的にコンテンツ体験ができる場をつくることと考え、『SENSORS』を企画している」と話す。
広告メニューについては従来型のテレビとWEBのセット販売だけでなくWEB単体での商品化も模索しており、『SENSORS』には日本テレビの新しい広告モデルづくりの実験という側面もある。「テレビのコンテンツをネットで流すだけでない、リーチ力を始めとしたテレビの力を活用した新しいネットビジネスのモデルをつくりたい」(三枝氏)。
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