【前回の記事「「惜しい!メールの題名———情報洪水の中で、確実に相手に読ませるには」はこちら】
都内の某駅前にある、雑居ビルの窓の表示[写真①]。作成する時は紙の上での作業ですから、想像力を働かせないと、このようについ、1行目から順に1、2、3…と書いてしまいます。でも、実際にビルの壁面に垂直に貼り付けてみると、[写真②]の並べ方の方が、明らかにしっくり来ますよね。
ポイントは、そのメッセージが表示される《現場》をリアルに思い浮かべて「それを見ている人の身体感覚にフィットする表現になっているか」チェックしよう、ということです。このチェックが甘い残念な看板は、日本中に溢れています。例えば–
各地の街角でよく見かける、おなじみのクリーム色がかった地図看板[写真③]。あれが本当にわかりづらいのは、地図を見ている人の身体の向きと、地図の上下左右が一致していないことが多いからです。
地図と向き合った時、身体の正面の方向が地図上では上側に、背後の方向が下側に描かれていれば、左右の感覚も実感と一致して、私達は位置関係がつかめます。それが狂っていたら(まして、そこに現在地の表示も無かったら)しばし途方に暮れます。
東京・吉祥寺の駅前商店街を描いた[写真③]の場合、(道路標識の白いポールが思いきり邪魔なのはご愛嬌として)なんと地図を見て考え込んでいる私の身体は、図の左下端で、左方向を向いて立っていたのでした! 掲示場所が変えられなくても、ただこの図を時計回りに90°倒して描き、現在地を記入していれば[写真④]、同じ製作費でずっと皆の役に立つ物になったのですが。
現場の身体感覚を考えていない、という点では、こういう掲示も。
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