寒空の街を美しく演出し、通りかかった人が思わず目を留めるイルミネーション。これを社会問題の啓発に活用したキャンペーンが英国で展開されている。
市民団体「ADOT.COM」が、英国のホームレス問題の啓発を目的に展開しているもので、コンセプトムービーには、赤・青・緑と色とりどりに光る電飾で全身をぐるぐる巻きにしたホームレスたちの姿が写し出される。
ホームレスの社会的自立を目指す雑誌『The Big Issue(ビッグイシュー)』発祥の地でもある英国。ADOT.COMによると、国内のホームレス人口は9万3000人にのぼる。日本全国のホームレス人口8265人(厚生労働省「ホームレスの実態に関する全国調査結果」2013年)と比べてもかなり多い。この数字の差は、日英間の「ホームレス」の定義の違いによって生じているとも言えるが、日常的に多くのホームレスを目にしているうちに、いつしか気に留めることすら忘れつつあるのが現状。時期柄、人々が思わず目を留めるイルミネーションを使うことで、問題の再認識を促すことを狙う。
キャンペーンは、テレビCM、シネアド、ポスターといった従来型メディアに加え、ソーシャルメディア上では、ハッシュタグ「#shedlight」を使った話題の拡散を呼びかけている。携帯電話のテキストメッセージによる寄付を募っており、寄付金は、ドラッグやアルコールに関する教育などに取り組むチャリティー団体「The Amy Winehouse Foundation」、若者ホームレスやその他の困難を抱えた若者の支援施設「New Horizon Youth Centre」、そしてADOT.COMの活動に役立てられる。
担当エージェンシーはオグルヴィ・アンド・メイザー・ジャパン。同社は、クリエイティブは社会的課題の解決に資するとの考えから、社会問題に取り組む様々な団体のキャンペーンに関わっている。ADOT.COMのキャンペーンには、2013年7月に同社のチーフクリエイティブオフィサーに就任したアジャブ・サムライ氏が長年にわたって携わってきた。
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