「長期的な関係づくりのためのカスタマージャーニーを考える」Part2

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写真右上から時計回りにオリンパス コーポレートセンター ブランド宣伝部 部長の増田孝氏、アフラック(アメリカンファミリー生命保険)執行役員 広告宣伝部長の澤村環氏、JAPAN CMO CLUB Founder 加藤 希尊氏、ユニリーバ・ジャパン・カスタマー・マーケティング スキンカテゴリ マーケティングダイレクターの東浜文哉 氏、エクスペディア(AAE Japan)マーケティング ディレクターの木村奈津子氏。

2月5日、第4回目となる「JAPAN CMO CLUB」研究会が開催となった。今回はアフラック、エクスペディア、オリンパス、ユニリーバ・ジャパン・カスタマー・マーケティングの4社よりトップマーケターが参加。日用消費財から、保険にカメラ、さらに旅と全く業態の異なる4社ではあるが、逆に異なる商材のブランドのカスタマージャーニーを互いに聞くことが、仕事のヒントになるとの声が多く上がる研究会となった。

第4回研究会参加メンバー

  • アフラック(アメリカンファミリー生命保険) 執行役員 広告宣伝部長 澤村 環 氏
  • エクスペディア(AAE Japan)マーケティング ディレクター  木村 奈津子 氏
  • オリンパス コーポレートセンター ブランド宣伝部 部長 増田 孝 氏
  • ユニリーバ・ジャパン・カスタマー・マーケティング スキンカテゴリ マーケティングダイレクター東浜 文哉 氏

今回は第3回に続き「長期的な関係づくりのためのカスタマージャーニーを考える」がテーマで、各ブランドのカスタマージャニーの中でも、特に重要な「瞬間」についての発表からディスカッションが始まったため、こうした感想があがってきたようだ。

重要な「瞬間」から見えてくること

ディスカッションは今回もJAPAN CMO CLUB Founder 加藤 希尊氏のモデレートにより進行。加藤氏からの「お客様とブランドの接点で一番、重要な瞬間は?」との問いに対する各社の回答は以下の通り。

加藤氏からは冒頭で、それまでの3回の研究会で見えてきた現在の企業のマーケティング課題、またそれに向き合うためのマーケターの活動の在り方について、解説があった(下図参照)。氏は「多くの企業が向き合うのが『コモディティ化』への対応だが、その対応の中で『お客様視点』がますます重要になっている。その中で、より深く、リアルタイムにお客様を知ることができる『データの活用』、さらにそこから導き出される『カスタマージャーニー』の理解がますます重要になっている」と指摘。

さらに「多様なブランドのマーケターが、担当ブランドのカスタマージャーニーを持ち寄り、ディスカッションする中で、お客様の視点に立ち、お客様にとって満足の高まるジャーニーを実現することの重要性が見えてきた。必ずしも、企業のマーケティング組織において、例えばCMOといった役職を設けなければならないわけではない。大切なのはお客様視点を貫き、このジャーニーを実現することで、そのために必要なマーケティング機能の在り方を、トップブランドのマーケターは今、まさに模索している」と話した。

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アフラック(澤村 環 氏)

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アフラック(澤村 環 氏)

お客様とブランドの接点で一番重要な瞬間は?

1、保険会社の事業全体で見た場合
契約頂いたお客様が万が一ご病気になられた場合などの保険金・給付金のお支払い時が最も重要な顧客接点であると考えます。保険という商品の特性上、購入時(=加入時)にはお客様は対価を得ることはなく、ご病気になられた際に加入した保険の価値が改めてわかるからです。
保険金・給付金のお支払いを適正にかつ迅速にできる支払管理体制の構築が保険会社としての重要な使命と認識しています。

2、広告の影響範囲で見た場合
AIDMAやAISASの時代と比較し、昨今は保険商品のカスタマージャーニーにも大きな変化がおきています。以前はマス広告を通してATTENTIONをあげることで当社の代理店やホームページをお客様が訪れるフローとなっていましたが、最近は比較サイトや複数の保険会社の商品を扱うショップなどで第三者やプロの意見を聞く流れが若年層を中心に顕著になっています。
こうした顧客接点の変化を踏まえ、マス広告の役割の見直しやプロモーションの投下ポートフォリオの最適化を行っています。

昨年、保険加入時のお客様の行動が大きく変わっているのではないか、と考え、「AISAS」から「ORACAS」へと態度変容プロセスが変化している、という仮説をチームで立てた。

「ORACAS」とは「Occasion(きっかけ)」、「Research(調べる)」「Advocate(推奨)」「Convince(説得)」「Action(購入)」「Share(共有)」の頭文字をとったもので、特にポイントは2つある。一つが保険の場合には従来、言われてきたように「Attention」、つまりは広告が起点になっていない。あくまで消費者のライフステージの変化という「Occasion」が起点になっているのではないか、という点。もう一つが「Advocate」のプロセスで、第三者の意見を聞いて、「Convince(納得)」しないと、「Action」にはつながっていかないのではないかという点だ。

この仮説の検証をした結果、検討の入り口で想起されるブランドのショートリストに入るためには、企業の質の認知をマス広告で高める必要性や「Advocate」のフェーズで比較された時のために、商品の優位性をあらかじめ刷り込んでおくことの重要性が再確認できた。現在はこの検証を踏まえて、メッセージとメディアデザインの最適化を進めている。

ユニリーバ・ジャパン・カスタマー・マーケティング(東浜 文哉氏)

ユニリーバ・ジャパン・カスタマー・マーケティング(東浜 文哉氏)

ユニリーバ・ジャパン・カスタマー・マーケティング(東浜 文哉氏)

お客様とブランドの接点で一番、重要な瞬間は?

あえて一つ選ぶなら店頭(Point of purchase)になります。ブランド選択のdecision making の多くが店頭で行われるためです。

当社の扱う商品は、ブランド選択の約6割が店頭で行われ、加えてその決定に要する時間は、早い方だと3秒、長くても3分ぐらいと非常に短い。そうなると店頭に行っていただくまでのコミュニケーションももちろん大事ではあるが、やはり店頭がもっとも重要であるという認識になる。

当社で意識しているのは、店頭のツールやパッケージには、商品の前に止まっていただく「ストップ」、比較検討をしてもらうための「ステイ」、最後に購入の背中を押す「セル」の3つの要素を盛り込むということです。

「ストップ」「ステイ」「セル」に必要な表現は、それぞれ言葉も色も異なる。それぞれのステップに合わせた適切な表現がパッケージ、POPなどに盛り込めるよう、総合的にプランニングしている。

カスタマージャーニーのプロセスは、理想形では5つぐらいのステップを踏まえるというモデルを考えているが、調査した結果、実際にこの5つのプロセス全てを通過した人は、ほとんどいないということがわかった。予算を適切に配分していくために、最近は比較的最近はタッチポイントを狭める傾向にある。

次ページ「エクスペディア・オリンパスの回答」に続く

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