ネクスト、動画広告の新たな可能性を探るアノテーション最適化——「デジタルマーケティング年鑑2015」事例解説⑥

【前回記事】「サイボウズ、オウンドメディア運営をきっかけに新ニーズを発見——「デジタルマーケティング年鑑2015」事例解説⑤」はこちら

デジタルマーケティングの潮流を、2013年後半から2014年に実施された代表的な事例を通して解説する書籍『デジタルマーケティング年鑑2015』。その発刊を記念して、AdverTimesでは書籍に収録されている112社の事例の中から10の事例を厳選して紹介。今回は、ネクストが行った「レスポンスの獲得を目的とした動画広告」について解説する。

ネクストが運営する不動産・住宅情報サイト「HOME’S」は2014年、レスポンスの獲得を目的とした動画広告を行った。動画上にアノテーション(テキストリンク)を貼ることで、サイトへの誘引を図る試みである。

そもそも同社が動画広告を行った理由の一つに、集客単価の高騰がある。ネット広告を導入する企業が増え、サイト誘引のためのコストが年々高くなっていた。また一方で、技術の発展で新しいデータが取れるようになったこともある。ラストクリックやサイト滞在時間に加え、長期のサイト再訪問率の比較、動画の視聴者の離脱するタイミングなども分かるようになった。

そこで、同社はさまざまなタイプの動画を配信する実験を行った。YouTubeの動画広告「TrueView」にアノテーションを設定した動画を出稿。その後、改良した動画や、YouTuberとして有名な猫を起用したものなどを配信し、分析を重ねた。

同時に転勤が決まって部屋探しをすることになった二人を追った動画広告第一弾。最後のコマで「HOME’S」へのアノテーションを設置し、効果があるか検証。

物件データが一日に8 回も更新されることを訴求する動画広告第二弾。アノテーションの利用を前提とし誘導を意識した構成。※物件数は2014 年3 月現在のもの。

同社にとってYouTuber を初めて起用した動画広告第三弾。「ペット可物件」のアノテーションを設置。

「ドリーマー / DREAMER」。海外へ配信しバズの逆輸入を狙った動画広告第七弾。動画の最後にアノテーションを設置。完全視聴ユーザーの誘導を図った。

その結果、クリエイティブによりユーザーの属性が大きく変わり、CTR(クリック率)も変動することが分かった。コンバージョンを狙った動画では広告での視聴が多かったが、YouTuberを起用したものは純粋な動画再生が広告経由の数を上回り、再生回数が落ちにくくなる効果が明らかになった。また、最後まで視聴した人のCTRが高いことも分かった。

動画を使うことで集客単価は必ずしも下がらなかったが、ユーザーのサイト滞在時間が長くなり、エンゲージメントが高くなるなどの成果も確認できた。同社は今後、今回の経験を生かし、さらなる動画広告の可能性を探っていく考えだ。

広告接触の起点から90日間の累計CV(成約数)を100%とした場合の進捗

動画広告に接触したユーザーは期間全体でおよそ5%(4.5日)ほど早くCVに到達したことになる。

アノテーション追加による維持率・離脱率の変化

アノテーションによってクリックが獲得できただけでなく、離脱直前の表示に反応したためか、その後の離脱率を抑えた結果になった。

取材協力

安藤 智彦 氏(左)
HOME’S事業本部 マーケティング部 デジタルマーケティングユニット ユニット長
橋本 勝洋 氏(右)
同事業部・同ユニット

こちらの記事は、3月10日に発刊された「デジタルマーケティング年鑑2015」(宣伝会議・刊)より一部抜粋しました。事例をご覧になりたい方に向けた書籍です。
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