YouTubeキラー「Vessel」公開へ 月額課金と広告モデルの動画プラットホーム

「オンライン動画の第二創業期だ」——ストリーミング動画「Vessel(ベッセル)」が24日、一般利用者向けにサービスを公開した。Vesselは、動画配信大手フールーの創業者で元CEOのジェイソン・キラール氏が立ち上げたサービス。動画投稿者(クリエイター)への利益還元率の高さを武器に、「YouTube」からクリエイターや視聴者の奪取を狙う。

ストリーミング動画「Vessel」は、パソコンのブラウザでも視聴できるが、メインはスマートフォンやタブレット端末などで見ることを想定してデザインされている。動画の再生時間も、1分~10分未満のものが多い。

Vesselのクリエイター向けの説明では、「投稿者は、動画再生1000回あたり約50ドルを受け取れる」という。もし、その主張どおり支払われるとすると、YouTubeのような広告付き無料配信プラットホームで受け取れる平均金額の20倍になる。会員が支払う利用料総額の60%と、動画に挿入される広告収入の70%がその原資になるという。

ただし、契約したクリエイターには、動画をVesselだけで「先行公開する」という条件が課される。限定公開期間は最低72時間で、それが過ぎれば、YouTubeやDailymotionといったほかの動画プラットホームに同じ動画を投稿できるようになる。限定期間の上限はクリエイターが決めていいという。

この先行公開の動画を視聴できることが、ユーザーがVesselに月額料金を支払う理由になる。つまり、「ユーザーは、好きな動画クリエイターの動画を、いち早く見たいがために課金する」というのがキラール氏の目論見だ。より多くの会員を獲得するため、ファンにVesselの会員になるよう促し、有料会員になった場合は、1人につき7ドルを動画クリエイターに支払うキャンペーンも行っている。

公開に先立ち、「RHETT&LINK」や「Shane Dawson」など、YouTubeで活躍する動画クリエイターが参画した。それぞれ320万人、646万人といったファンを持つクリエイターだ。世界トップクラスの「PewDiePie」の名前は確認できない。ほかに公式チャンネルとして、「ウォール・ストリート・ジャーナル」や「TIME」、「バズフィード」「GoPro」といった新旧メディアも名も連ねている。

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