【前回記事】「就活生は面接官を「壁」ではなく、「人」として捉えると楽になる——「ジブンと社会をつなぐ教室」schoo森健志郎氏特別インタビュー(後篇)」はこちら
多様な働き方を選べる時代
吉田:この本は、タイトルのとおり「なぜみんな、就職活動になると同じような話ばかりするのか?」という疑問から生まれました。
一人ひとりが違う人生を歩んできて、価値観もさまざまなはずなのに、エントリーシートや面接では多くの人が同じような「型」の中で自らを語り出してしまう。でも本来ならば、職種や企業の「型」に自分を合わせるのではなく、あくまでも主体は自分自身で、自分らしく働ける環境を見つけ出すべきだと思うんです。
そのための実践法をこの本に書いたのですが、そもそも、「自分らしく働く」とはどういうことなのか、今回は多様な働き方を実践されているお二方といっしょに考えていきたいと思っています。まず、津田さんは現在ソニーに在籍する一方で、長野県富士見町のテレワークタウン計画をプロデュースしていますよね。今の働き方に至った経緯を教えてもらえますか?
津田:僕は新卒で東急エージェンシーに就職して、デジタルマーケティングやメディア・バイイングの仕事を担当していました。その後、ゲーム関連会社に出向して高校生向けの携帯サービスの立ち上げに携わったり、戻ってからはソーシャルメディアの戦略やアプリの企画開発、デジタルプロモーションなどを一通りやりました。ソニーに転職したのは、30代前半ですね。
吉田:広告会社の仕事と、メーカーの仕事に大きな違いはありましたか?
津田:ソニーでも戦略や企画の仕事をしているので大きくは変わらないです。ただ、ソニーはグローバル企業なので色々な国の人たちの働き方を知ることができて、たとえばスウェーデンの人なんかは1ヶ月半くらい休む。
また、国内では周りのフリーランスやベンチャー企業の友人たちを見てみると、例えば屋久島や北アルプスなんかに1ヶ月行ってしまったり、場所を問わずに自由に仕事をしている友人たちもいます。そういう働き方の多様性に触れるなかで自分はどうしたいかを考えたとき、新しいワークスタイルを作って実践してみようと考えました。
吉田:それが富士見町のテレワークタウン計画につながるんですね?
津田:はい。僕は山が大好きで八ヶ岳によく行っていたので、以前からこんな自然豊かな場所で暮らせたらいいなと思っていて。そんなとき、富士見町役場のウェブサイトで空き家をオフィスとして活用する計画を知って、自分も移住したいし、その計画をプロデュースさせてほしいというメールを送ったんです。
これは、空き家を自宅兼オフィスとして1年間無料で貸し出すプロジェクトで、ちゃんと集まるか少し心配にもなったんですが、実際はWeb系スタートアップや映像制作会社から、オーガニックせっけんを作る人など、60組くらいの応募がありました。うれしかったですね。
佐藤:ネットワークを上手に活用すれば、東京にいなくても東京の仕事ができる時代ですもんね。
津田:富士見町なら東京まで2時間半ほどで行けちゃうので、たとえば1週間のうち3日は東京で働いて、残りは富士見町で働くということもできます。今後ネットワーク化がますます進めば、さらに多くの人が多様な働き方を選べるようになると思います。
「なぜ君たちは就活になるとみんな同じことばかりしゃべりだすのか。」
広告コミュニケーションのノウハウで就職活動生の悩みの解決に取り組む、電通×マスメディアンの共同プロジェクト「ジブンと社会をつなぐ教室」のメソッドを余すことなく書籍化。なぜ君たちは、就活になるとみんな同じようなことばかりしゃべりだすのか。そんな疑問を抱いた6人の広告プランナーが作り上げたメソッドを紹介する就活生必見の書籍。