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日本テレビで『電波少年』を制作し、ネットでもコンテンツを作ってきたLIFEVIDEO代表・土屋敏男氏と、ネットメディア上でシェアされる広告コンテンツを制作するLINE株式会社 広告事業部 チーフプロデューサー 谷口マサト氏。世代もメディアも超えて活躍するお二人はまさに存在そのものがメディアを交錯しています。そんな作り手の話が交錯して行く先に、コンテンツのこれからの姿が見えてくるかもしれません。話は2時間以上に及び一回では入りきらないので、二回に分けてお届けします。
いまのネット文化は『電波少年』の影響を受けている
境:僕は20年前にテレビで見た『電波少年』のにおいを、谷口さんのネットでの表現から味わっている気がして、お二人を引き合わせたいなと、この対談を組みました。
谷口:『電波少年』には、かなり影響を受けていると思います。私だけでなく、ネット文化自体が土屋さんの影響を受けている。ネットってリアルじゃないと受けないんです。今日は、そのドキュメンタリー的な手法をぜひうかがいたいと思っています。
土屋:僕はテリー伊藤さんの下で「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」をやっていて、電波少年の原型はあの番組のドキュメント的な企画です。アポなしで霞ヶ関行っちゃうとか、テリーさんよりもっとおおざっぱというか、行っちゃえという感じ。何日も前からアポイントをとるというのがダメなんです。どんだけ、めんどくさがりなんだ、と(笑)。
どういう風に番組としてつくるかというのはテクニックなわけで、本当とかやらせとか、ということではない。編集するっていうことは、ようするに本当じゃない。恣意的なものが必ず入ります。ここにあるコップを上から撮るか、あおりで撮るかで、意志があるわけじゃないですか。
境:どう切り取るかと考えた時点でフィクションなんですね。
土屋:作り手というのは、マジシャンです。新しく面白いものって、新しいマジックだと思った方がいい。表で見えるモノじゃなくて、実はこれどうやって撮ってんの、ということだけ分かればいい。だから僕は新しいものをつくるとき、何が面白いかではなく、新しい手法から考えます。すると、新しいものができる。
谷口:つくりかたをつくるということですね。
土屋:「みんながわーとやっているときに、みんながやらないことは何だろう」「こんな手法は考えつかないよね」と考える。いまテレビ番組は100人ぐらいの人が関わってつくっている、そんななかで僕は1人でつくるとどうなるかを考えてみる、そうすると新しくなる。
谷口:ネットで映像をつくる人は少人数で組んでいますよね。新しいことをしたいから。
土屋:僕がネットでやるとしたら、逆に4000人で番組つくりましょうとやってみる。すると、ネットにないものになる。「Hikakinが成功しているから、俺もそれをつくろう」となると、「Hikakinみたいな」見えている部分だけを似せた劣化コピーが量産されるだけ。