【前回コラム】「ネイティブアドはテレビCMに代わる新たな認知の獲得手段になるか」はこちら
Googleはバナー広告作成を拒んでいたことで有名
前回のコラムでは「ネイティブアドはテレビCMに代わる新たな認知獲得の手段になる」というシェアスルーのダン・グリーンベルグCEOの発言を軸に、ネイティブアドという言葉の定義について考えてみました。
日本ではネイティブアドを従来から日本で利用されてきたメディア媒体の記事広告との比較から議論し始めている場合が多く、視点が狭くなりがちですが、今回はGoogleの検索連動型広告をネイティブアドの代表として考えてみるところからはじめてみましょう。
検索連動型広告をネイティブアドと呼ぶと混乱する方がいるかもしれませんが、そもそも、米国のネイティブアドプレイブックでネイティブアドの主要な6タイプと分類されているのは以下です。
インフィード型:SNSやメディアの記事一覧などに広告として投稿等を表示させるもの
ペイドサーチ型:検索結果の中に広告としてリンクを表示させる検索連動型広告
レコメンドウィジェット型:関連記事欄などの中に広告として記事等を表示させるもの
プロモートリスティング型:商品検索などの一覧の中に広告として商品を表示させるもの
インアド型:バナー広告の中にネイティブなコンテンツを表示するもの
カスタム型:その他サービスに合わせてカスタムメイドで提供されているもの
実は検索連動型広告もペイドサーチ型としてネイティブアドの一つとして明確に分類されています。
そもそもGoogleは、自社の検索サービスにバナー広告枠を作ることを頑なに拒んでいたことで有名な会社です。そのGoogleが自社の収益を確保するための広告手法として悩んだ末に選択したのが、検索連動型広告でした。ユーザーが検索したキーワードに応じて広告を表示するこの手法は、ネイティブアドの代表的な成功事例といえるでしょう。
検索結果に表示されるのは、キーワードに関係があるはずのページへのリンクとしての広告であって、それらは他のコンテンツとしての検索結果と同様に並んで「ネイティブ」に広告として表示されます。
ただ、この検索連動型広告の手法も、開始当初は様々な物議を呼び批判も浴びました。だからこそGoogleは常に検索連動型広告がユーザーがGoogleを選択しない理由にならないための努力を続けています。
広告として表示されるものが検索しているユーザーにとって価値があるかどうかをGoogleは厳しくチェックしていますし、広告の表示順位や入札単価に広告のクリック率などが反映され、ユーザーにとって有益な広告が有利になるような仕組みにこだわっています。
これによりGoogleの検索連動型広告は、Googleの検索サービスを使って何かの「検索結果」を探しているユーザーにとって「ネイティブ」なコンテンツとしての「検索結果」を表示する広告として存在価値を保てているわけです。
FacebookやTwitterのニュースフィードやタイムラインに表示されるインフィード型の広告も同様です。
Facebookの広告は当初サイドバーにミニバナー的な広告枠を並べることを中心としており今でもその広告枠が残っていますし、Twitterも一時期日本だけバナー広告枠が販売されていた時期がありますが、これらの広告枠は結局ユーザーに無視されることが多く、最終的に両者ともインフィード型の広告手法に注力する形になります。
どちらの場合も一般のユーザーの投稿や写真・動画に並んで、広告として企業の投稿を表示することができますが、このフィードの中に表示するのは他のユーザーと同様の形式の投稿であることが求められ、コンテンツとして機能することが期待されています。
例えばFacebookで広告として表示される画像には厳しいポリシーが適用され、ユーザーからクレームが集まるような広告は掲載が拒否されます。
つまりFacebookやTwitterのインフィード広告は、FacebookやTwitterを使って他のユーザーが投稿する「情報」を閲覧しているユーザーにとって「ネイティブ」なコンテンツとしての「情報」を表示する広告として存在価値を高めることができています。