【前回のコラム】「新米パパ・シンガタ権八成裕に聞いてみた「イクメンとクリエイターって両立できますか?」」はこちら
(聞き手・文:博報堂ケトル 原利彦)
——田端さんの仕事は、シンプルに言うと、LINEの法人向け営業責任者として、企業の宣伝予算を獲りにいくお仕事ですよね。その時、LINEの競合は、もはやテレビだと思うんですよ。広告業界で働く僕の感覚からしても、LINEはもはや数少ないマスメディアと言える存在です。
田端:そうですね。僕も普段は仕事なんで、テレビを仮想敵として(笑)、企業に対し「テレビ広告にかける宣伝予算をもっとデジタルやスマホにかけましょうよ、しいて言えばLINEに移しましょうよ!」っていう営業をしばしばしています。
——その時のクライアントの反応ってどうですか?
田端:ここ数年、相当変わってきた気がします。以前ほど、テレビCMを出稿することが、必ずしも当たり前ではなくなってきましたよね。少し前までは、全体の宣伝予算からまず最初にテレビの出稿予算を確保して、それから後に他のメディア、そして最後に残った予算をWeb予算に振り分けるっていう感じでしたから。
——そうなってきた理由って何でしょうね?
田端:これは、簡単な話でしょう。デジタルが進化しメディアが多様化する中で、企業もトライ&エラーを繰り返していく。そして結果的に、費用対効果の高いところに宣伝予算のシェアが高まっていくだけの話だと思います。それが今の流れとしては、Webやスマホに集まりつつあるのかな、と。
——でもスマホ企業のLINEだって、盛大にテレビCM出してるじゃないですか。LINEだけじゃなく他のスマホ企業も。今、テレビ局にとっても、伸び盛りのお得意様って、スマホ企業なんじゃないか、ってくらいCM見ますよ。
田端:僕は広告主LINEとしての宣伝は担当してないので、あくまで個人的見解ですが、これも結局は、さっき僕が話したことと同じだと思いますよ、シンプルな話です。
現状、スマホ企業にとってテレビCMが、最も費用対効果が高い宣伝メディアなんです。単なる宣伝と言うよりは、投資や仕入れのようなものでしょうね。
例えば、今、テレビを観ている視聴者の手元にあるものって何ですか?スマホですよね。テレビCM見て「何これ」と思ったら一歩も立ち上がることなく、アプリやゲームを買える。しかも、テレビは視聴者が意識せずとも電源がついていることが多いわけです。
広告業界風に言うと、テレビとスマホは、メディア接点と購買接点が限りなく近い、よい関係な訳ですよ。今のところスマホ企業にとって、テレビはかけたお金に関して、効率よく回収ができる優良な投資先なんです。