20代女子が自ら解説 インスタ世代の行動指標“インスタジェニック”

10月31日発売の『宣伝会議』2015年12月号では、「ネットサービスに見る、若者の新しい消費意識・価値観」を特集。10代後半から20代前半までの世代にスポットを当て、彼・彼女らの間で、いま流行っているネットサービスを取り上げています。今後、消費を牽引するデジタルネイティブ世代の新たな消費意識・価値観とは?自身もデジタルネイティブである石井リナさんに、インスタ世代の行動指標を語ってもらいます。

※本記事は、誌面に掲載した記事をもとに、抜粋・加筆したものです。

SNSに見る 若者ユーザーのトレンド

昨今の若者ユーザーのトレンドを見ると、スマートフォンの普及により、検索サイトやポータルサイトを閲覧している時間よりもSNSを利用している時間の方が上回っています。SNSの中でも、言語系メディア(FacebookやTwitter)から非言語メディア(InstagramやMixChannel)への移行が顕著です。その要因としては、文字や言葉を認識する左脳よりも、視覚など五感を認識する右脳の方が、処理速度が6万倍早いと言われており、ソーシャルメディアネイティブな層にはそうしたスタイルの方が好まれているからと考えられています。

若年層に人気なSNSとして、写真であればInstagram、動画であればMixChannelが挙げられます。主にメインユーザー層としては、Instagramは18~25歳、MixChannelは18歳以下です。私は、Instagramを利用しているユーザー層を“インスタ世代”と呼び、MixChannelを利用しているユーザー層を“ミクチャ世代”と呼び分けています。ミクチャ世代は、物心ついた頃からスマホがあったため、動画系SNS(MixChannelやツイキャス、Vineなど)を使いこなしており、インスタ世代とも大きく乖離があります。ここではインスタ世代にフォーカスをあて、話を進めます。

Instagramの3つの特徴

まず、Instagramとは、写真加工アプリから発展したSNSです。グローバルで4億人のユーザー数を誇り、昨年はTwitterのユーザー数を抜き、話題になりました。国内でもユーザー数はおよそ700万人、アクティブ率も70%と、LINEに次いで高く、内訳としては、利用者の90%は35才以下、68%が女性と言われています。ここまではっきりとユーザー層のセグメントがされているSNSも珍しいでしょう。

Instagramの特徴は大きく次の3点があります。①写真を加工してアップするだけというスーパーシンプルな点 ②コミュニケーションが写真となるため、言語を必要とせずグローバルに活用ができるという点 ③画像にリンクが貼れず、サービス内の拡散機能も持たないクローズドな点です。Instagramの人気は芸能人の利用が牽引しており、次々とブログからInstagramに移行しています。そうした中でも、Instagram発で有名になった「MEGBABY」さんや「Mappy」さんなどインスタグラマーなるインフルエンサーも数多く出現しています。ファッション雑誌のアカウントよりも彼女たちの方がフォロワーが多いこともあり、インスタグラマーの影響力は無視できないものになっています。

“インスタジェニック”という価値観

インスタ世代の価値観を理解してもらうために重要なキーワードとして“インスタジェニック”というものがあります。インスタジェニックとは、「Instagram上で映えるモノやコト」という意味で使われています。Instagramは、写真好きの人たちがアクティブに利用していたことから、“綺麗な写真を載せるSNS”という暗黙のルールのようなものが共通認識としてあります。

より具体的に言えば、インスタジェニックとは、色彩豊かであったり単純に写真映えするモノやコトと、“リア充 ”アピールできるモノやコトという2種類があります。後者の例として、最近、若年層を中心に、カラーランやバブルランなどの「◯◯ラン」が大流行しています。走るだけならば、市民マラソンに出ればいいのですが、流行の背景には、「自分にはこんなに友達がいて、楽しそうで、リア充なんだ」というアピールをしたいという気持ちがあり、それにつきると言っても過言ではないでしょう。インスタジェニックとはただの価値観ではなく、インスタ世代における購買や行動に直結する行動指標にもなっているのです。

言い換えると、インスタ世代にとって、Instagramにアップした写真は、自分自身を表現するものであり、「こういう世界に私は所属している」という自己顕示欲求の表れなのだと思います。非言語系SNSであるInstagramでは自己顕示欲求としての自己表現が、写真という形でわかりやすく現れます。それが、ユーザー間で加熱して盛り上がっているのでしょう。


石井リナ
オプト ソーシャルメディアコンサルタント

Web広告のコンサルタントを経た後、SNSコンサルタントとして企業のマーケティングに従事。学生時代よりファッション誌の広報インターンとして、リアルイベントの企画・運営をするなど、F1層マーケティングを得意とする。SNS特化メディア「kakeru」にて連載を執筆中。セミナーの講師も多数行う。

先進的な企業はすでにインスタ世代特有のインスタジェニック心理を理解し、商品開発やプロモーションなどに活用している!?そして、インスタ世代の行動を理解した上での仕掛けづくりのポイントとは?
詳細は、10月31日発売の『宣伝会議』2015年12月号をご覧ください。

『宣伝会議』2015年12月号

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巻頭特集 ネットサービスに見る、若者の新しい消費意識・価値観

10代後半から20代前半までの若者世代では、どんなネットサービスが流行っているのか。今後、消費を牽引するデジタルネイティブ世代の新たな消費意識・価値観に迫ります。

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