カオス化する消費者行動が「オムニチャネル」を生んだ<デジタル・シフトVol.3>

【前回記事】「なぜ、いま企業に「顧客」と「データ」という言葉の再定義が求められるのか?<デジタル・シフトVol.2>」はこちら

文・田島 学氏 アンダーワークス 代表取締役社長

「チャネル」の概念を再定義しよう

画像提供:shutterstock

前回のコラムではデジタル・シフトした時代、「顧客」「顧客データ」という概念の社内における再定義が必要であることを解説してきました。

今回は「顧客理解」あるいは「個客理解」の後に、必要となるステップについて解説していきます。次に必要なこと、それは「チャネル」についての再定義です。その理由は当然のことながら消費者の購買行動が劇的に変化していることが原因で、従来型のオンラインとオフラインがそれぞれで完結した一次元のチャネル施策では、適切なカスタマーエクスペリエンスが提供できなくなっているためです。

カオス化するパーチェスファネル

従来のマーケティング活動は企業起点のプランニングがなされていました。象徴的なのがパーチェスファネルの考え方で、従来のパーチェスファネルは、認知から購入に至るまでに、漏斗(パーチェス)のように先が細くなる逆ピラミッド型のモデルとして捉えられていました。

このモデルの用途は、最初の入口が広がれば、購入に至る人の総量も増えるので、まずは最上流の間口をいかに広げるか、さらに漏斗の途中段階で幅を狭めているプロセス、つまりはボトルネックになっている箇所を発見し、改善していくために使われてきました。

しかし、消費者がいつでも、どこでも、好きな時に行動を起こせる現代においては、行動の自由を得た消費者が認知から購入までの一連のプロセスの中を一方行に動くだけでなく、そのプロセス間を自由に移動できるようになっています。つまりは一つのチャネルを捉えただけのパーチェスファネルを念頭にしていては、理解できない行動が増えているのです。

例えば、SNSが浸透し、消費者の発信力が増したことで、このファネルの向きが逆になっているとする考え方(「Flip The Funnel」)が登場するなど、パーチェスファネルの内部のカオス化をいかにして捉えるかは、マーケティング活動の大きなテーマと言えます。

次ページ 「チャネルの再定義とオムニチャネルエクスペリエンス」へ続く

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