「店内スマホ使い放題」。こうPOPを打ち出しのは、ヨドバシカメラだ。9月、店内でWi-Fiスポットの提供を開始したのに伴い店内での撮影を自由化し、SNSへの写真投稿や他社との価格比較、商品情報やレビューの確認などを自由に行えるようにした。
同社のアプリでは、商品のバーコードを読み取っての検索・注文や在庫状況の確認、価格比較ができる。「店内でスマホを使いづらい雰囲気がある」という顧客の声が、今回の施策のきっかけだった。
かつては、店での撮影は控えるのが暗黙のマナーだったが、スマホを片手に情報を得ながら商品を検討したり、都合のいいタイミングで購入したりできたほうが、消費者にとっての利便性は高い。
また昨今は、訪日客が、スマホで買いたい商品を表示しながら、店員に陳列場所を教えてもらう光景も目にするようになった。「店内スマホ使い放題」は、買い物環境の変化を象徴とも言えるだろう。
店頭で商品バーコードをスキャンすると「ほしいものリスト」に商品が追加される機能を持つアプリもある。東急ハンズアプリだ。店頭で商品を見ていて、「欲しい」と思っても、「この後予定があるから、大荷物になるのは避けたい」など、すぐに変えない状況でも、迷ったら「とりあえずスキャン」しておけばいい。実店舗の来店客のネットでの「買い直し」を便利にしている。同アプリでは3月、「バーチャル自販機」と題し、自販機をモチーフにしたポスターを駅構内に掲出。アプリで自販機ボタンに付いたバーコードを読み込むと商品を購入できるようにし、アプリの認知拡大を図った。
店舗で気になった商品を、ネットで購入し、コンビニで受け取るーー。いま買い物環境は商品を検討する場所、購入する場所、受け取る場所がバラバラになっている。11月には、セブン&アイ・ホールディングスが「オムニ7」を打ち出し、百貨店や専門店などを含むグループ各社の商品をネット注文し、セブン‐イレブンで受け取る、といったことができるようになった。
いつ商品と出あい、どう購入してもらうか。その道筋の付け方も変化している。西武池袋本店では11月、メガネ型ウェアラブル端末を使った新しい接客を試験導入した。売場スタッフが端末を着用し、スタッフの視線そのままの映像を、ライブ中継しながら接客するというもの。顧客はパソコンやスマホなどから、ライブで商品映像を見たり、売場スタッフと話したりできる。これまでネットでの買い物では難しかった「ジャケットに合うシャツを教えてほしい」「プレゼントする服を相談したい」といったことにも売り場スタッフがこたえていく狙いだ。商品の選定・購入・受取の場が分かれたことにより、商品を買ってもらうための販促の打ち手は、さらに多様化していく。
『販促会議』2016年1月号では、2015年のプロモーションを振り返り、販促アイデアに役立つエッセンスを抽出。キーワードとともに紹介している。
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