宣伝会議 「AdverTimes」編集部は、SMAPの分裂・解散騒動を受け、広告主(スポンサー)と広告会社に対して「広告におけるタレント起用」のアンケート調査を行った。
SMAPに限らず2016年に入り、タレントによる騒動やスキャンダルが相次いだ結果、タレントを広告に起用するリスクについて、約80%が過去に比べて意識するようになったと回答。一方でタレントを広告に起用する意向について「変化がない」と回答した人が「ある」を上回り、タレント起用型の広告に対しては、今も根強い支持があることがわかった。
また今回の騒動を受け、広告タレントとしてのSMAPの価値がどう変化したかを聞いた設問では、広告主と広告会社ともに約60%が「低くなった」と回答。また、広告会社よりも広告主の方が、「SMAPを起用したい」と考えていない傾向が読み取れた。これらの要因について聞いたところ、広告主と広告会社ともに所属するタレント事務所の対応に否定的な意見が見られた。SMAP所属事務所の他のタレントへの影響の有無について聞いた設問でも、約半数が「影響がある」と回答している。
対象:広告主(企業の宣伝部・マーケティング部などの広告を出稿する立場)と、広告会社(企業に対して広告戦略・企画を提案する立場)
調査期間:2016年1月22日、23日
回答数:392(総回答数494の中で、過去にタレントを起用した広告宣伝を実施または提案したことのある人をスクリーニング)
調査手法:インターネット
SMAPの広告価値は約60%が「低くなった」と回答
Q.今回の騒動を受けて、SMAPの広告タレントとしての価値をどう考えていますか?
「高まった」と回答した人は14.8%(「高まった7.4%」「やや高まった7.4%」の合計)、「低くなった」と回答した人は62.8%(「低くなった」34.7%「やや低くなった」28.1%の合計)、「変わらない」と回答した人は22.4%だった。
「低くなった」と考える理由については、下記のような声があった。
●広告主側のタレントリスク(契約期間中に解散、一部メンバーが脱退した場合のCM改訂や差替リスクなど)が高まったと考えるため。(男性・40代前半)
●タレントは裏側をみせてはいけない、あくまで夢を売る商売。それをテレビで公開謝罪させ、悲壮感を漂わせては、タレントイメージが悪くなり、広告に起用しにくくなる。(女性・40代前半)
●解散騒動によりタレントとそのグループが持つ個性ではなく事務所という存在が巨大なものとしてイメージ化され、そのインパクトがネガティブに捉えられている。(男性・30代後半)
<広告会社>
●トラブルはなんであれ、企業のブランドイメージに直結します。また、今回の件は事務所における管理能力の問題でもあり、タレントだけではなく事務所についてもマイナスであると考えてよいかと思います。(男性・50代後半)
●解散の可能性があるタレントグループとわかったので、起用は不安だと思います。もし契約したとしたら、契約期間中ずっと爆弾を抱えているのですから。(女性・30代後半)
●Web上でこれだけネガティブな情報があふれている今(真偽はさておき)、SMAPを起用するのは得意先のためにならないと考えます。(男性・20代後半)
今後もグループ解散の可能性が残っていると考える人が多く、契約後のリスクを不安視していることがわかった。また、所属するタレント事務所の対応に否定的な意見も多く見られた。
一方で、「高くなった」と考える理由については下記だった。
●「国民的」アイドルという認識が広まり、決定的となり、他のタレントとの違いが鮮明になった。関係を修復し、「やっぱり仲の良いグループ」というイメージを出すことができれば今まで以上の広告価値が得られると考える。(女性・40代後半)
●一グループの解散が首相から全国民まで巻き込んだ騒動になることはSMAP以外にはあり得ない。緊急生放送したスマスマが30%超の視聴率を叩きだした。国民的なグループであることを再認識できた上に注目度向上でSMAP人気が再活性化されたと感じた。(男性・40代前半)
<広告会社>
●老若男女、誰しもがSMAPに関心を持っている。ただ、関心というだけではなく、日本人の心に刷り込まれ、心の中に大切で欠かせない存在になっていると感じた。(男性・40代後半)
●判官贔屓的な傾向の強い日本という環境と、よりその傾向が強いインターネット(主にSNS)上においては、「新たにSMAPと契約を結ぶ/契約を継続する企業」に対して、「火中の栗を拾う、心意気のある企業/ブランド」という好印象を与えられるため。(女性・30代後半)
今回の騒動による反響の大きさから、SMAPの価値の高さに改めて気付いたという声があった。また、困難な状況に置かれたグループを支援することで、企業イメージが向上するのではないかという声もあった。