20〜40代の女性実売No.1と、絶大な支持を得る生活情報誌『サンキュ!』。料理や収納・インテリア、家計やりくり術、美容・ダイエットなど、時代にフィットした暮らし全方位情報を発信している一方、編集部に蓄積されている知見を企業のマーケティングに生かす取り組みも増えている。読者の多様化に伴い、ますます注目される『サンキュ!』ならではの強みとは?
今どき、“あえてインスタントカメラ”で編集者の嗅覚をみがく
出版不況の中、なぜ『サンキュ!』は売れ続けているのか。同編集部が実施したアンケートによれば、『サンキュ!』購入者のうち、1年間の全号を購入した人は25%にものぼる(定期購読除く)。そうした人気の秘密は、デジタルとアナログを活用した取材力にある。
まず挙げられるのは、編集部の徹底したリサーチ力。日頃の取材やアンケート調査はもちろん、発売後の事後調査を通じて、一つひとつの企画が、どのように当たったのか、どれだけの読者を獲得したのかについて編集部がすべて数字で把握し、総括している。
雑誌編集部では珍しい、すべてを数値化してPDCAサイクルを回すマーケティングを徹底していることについて、武田編集長は「主婦のトレンドは、大きく変わるのではなく、時代に合わせて、少しずつ静かに変化するもの。あらゆる調査を駆使して、わずかな変化も見逃しません」と話す。
一方で、データはあくまでデータであり、そのデータをどう解釈するかは、最終的には編集者のセンスや感覚に委ねられる。
そうしたセンスや感覚は、どのように磨かれているのか。その答えは、データを活用した徹底的なリサーチと相反するようなアナログな手法で、主婦たちのインサイトをさらに深掘りしていることにある。それを体現しているのが、インスタントカメラによる下取材だ。
主婦を中心とする一般モニターに、毎月50件ほど、インスタントカメラで、家の中の様子や夕食として食べたもの、冷蔵庫、押し入れの中などの写真を撮影してもらい、現像せずに編集部に送ってもらう。
「その中からワザや工夫のある読者を見つけ出します。あえてアナログなカメラを使うのは、取捨選択や加工されない、ありのままのリアルな生活から、見えてくるものがあるため。SNSにもアップされない、本人も気付いていない、ワザやトレンドを見つける嗅覚を編集者が養うことで、ヒットが生まれるんです」。
こうしたリサーチを重ねて取材をする読者との距離感は、丹念な取材によりさらに近づく。「ライター任せにせず、国内のどこにでも編集部員自ら取材に行き、冷蔵庫から家計簿まですべて見せてもらうのが基本」「最後には旦那さんとのなれそめまで聞けなければ、取材が甘い」――そうした丁寧な姿勢は、読者の信頼獲得にもつながっており、年収や貯蓄などの情報が、実名・顔写真入りで誌面上に公開されている所以でもある。
『サンキュ!』はいまや主婦にとって、人に聞けないけど知りたい“リアルな情報”の宝庫になっているのだ。
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