【前回コラム】「Snapchatにはどんな「快楽」があるのか、若者がハマる理由」はこちら
SNSありきの若者の消費行動
若い女の子たちが、Instagram上で大切にしている価値観、「インスタジェニック」という言葉をご存知でしょうか。
「インスタジェニック」とは、Instagram上で映えるモノやコトのことを指します。基本的には2つのカテゴリがあり、1つ目はビジュアルとして綺麗な写真、2つ目はリア充アピールができるような写真が挙げられます。
前者については、誰が見ても「この写真、きれいだな」と思うような写真を指します。後者に関しては、友達同士で参加しているフェスやカラーラン、ちょっと高級なホテルのブランチなど、その人たちにとって「リア充アピール」ができるものであればそれがインスタジェニックになります。もともとInstagramは写真加工アプリでしたが、次第に「きれいな写真をあげるプラットフォーム」だという暗黙のルールがユーザー間で形成され、美化された日常を投稿するようになった結果、ユーザーのリア充アピール合戦は加速しました。
Instagramに投稿したいから、フェスに行く、ハロウィン仮装をする、星野リゾートに行くなど、SNSありきの消費行動は、20代前半の女の子を中心に増え続けています。どの場所でどう正方形に切り取れば、インスタジェニックになるのか、彼女たちの頭の中では常に想像がされています。つまり、消費や体験に対する、人々の欲求はオフラインとオンラインの垣根を超えたシームレスなものとなっているのです。
見た目重視の若者たちの行く末は?
日本国内だけではなく、リア充アピールの行く末に訪れた「見た目至上主義」は海外でも繰り広げられていました。そのような中で、50万フォロワー以上を誇る、18歳のオーストラリア人のインスタグラマーEssena O’Neill(エセナ・オニール)は、突如として自身のSNSアカウントをクローズし、SNSでの自分は嘘で塗り固められていたと訴え、話題となりました。SNSによって四六時中、人の目や「いいね!」を気にする生活は息が詰まるもので、本来の自分ではない。SNSにまみれた生活は誰も幸せになれないと、世界に向けて発信しました。
こうした自己主張は、海外ですでに増えているムーブメントでもありす。海外セレブを中心に、「ありのままの自分を愛そう」というメッセージはSNS上で増えています。
2800万フォロワーを誇るアメリカの女優Zendaya(ゼンデイヤ)も、Instagram上で自身の写真が勝手に加工されたことに抗議しています。「加工されることによって、女性たちは自分の体に引け目を感じるようになり、非現実的な美に憧れを持つようになるのよ」とキャプションを加え、加工した雑誌社に写真の取り下げを訴えました。