【前回記事】「東京オリンピックは団塊世代の卒業式!2020年までにメディアの改革を完了せよ。」はこちら
コラムでは、著者の吉良俊彦氏がインタビュアーとなり、それらの領域で最先端を行くビジネスパーソンが、今の世の中をどうとらえているのか、未来はどうなると考えているのかなどを合計四人のゲストから引き出します!第3回のゲストは電通の出版ビジネス・プロデュース局長、堀内善太さんです。
吉良:これから日本の人口はどんどん減っていくにもかかわらず、日本の雑誌・書籍は国内消費に大きく頼っています。広告集稿やコンテンツ価値の提供など、大きなシフトチェンジが必要です。今日はファッション分野をはじめ、ありとあらゆるジャンルのメディア、コンテンツビジネスを手掛けてきた堀内さんにお話を伺いたい。
まず、日本の雑誌コンテンツは抜群に面白いと、僕は考えています。広告的なコンテンツも面白いものは多いのですが、やっぱり最高のコンテンツというのは、編集者が手掛けた編集コンテンツではないかと思います。それらは広告コンテンツの手法よりも、ちょっと高いレベルでつくられている。
でもコンテンツというのは、伝わらなければ、まったく誰にも知られない。そういった伝え方のことも含め、どう考えているのでしょうか。
堀内:伝え方という点でいうと「デジタル化」の考え方ですね。デジタル化に関しては日本人全般、特にマスコミの人間が「デジタル」というものを誤解しているんじゃないかと思っています。彼らのデジタルの考え方は、古い人が多い。紙で雑誌をつくって、それを転用するという流れから、どうしても抜けられないんです。雑誌をどうデジタル化して、広告をもらえるかということを考えている。デバイスの問題にすり替えているというか。
デザインもコンテンツも、デジタルにふさわしい見せ方と、紙にふさわしい見せ方があると思います。だから紙の雑誌ありきでつくり、デジタルで読めるようにPDFにしてもダメなんです。見開きの雑誌を1ページずつ見せても意味がない。PCやスマホで雑誌を見る人が増えたから、二次使用料でお金が入ってきて終わり、では先がない。もちろんそれに気づいている人はいて、スマホやパソコンありきの雑誌を考える人も出てきていますが、タイミングも取り組むスピード感も、ものすごく遅いですよね。