ということで、最後は店主のVincent Koskeiさんの写真を1枚。
実はやたら良いウインドブレイカー着ているなぁと思ったら、彼はケニアの陸上400メートル走代表選手だそうです。今年韓国の大会に出場すると言っていました。陸上はいつまで出来るかわからないし、家族もいるのでお店を経営しているんだそうです。1カ月の売り上げを聞いてみたのですが、そこは教えてくれませんでした。あんまり儲かっていることがバレると、強盗に目をつけられるからとか…。
お店にはほかにも米、食パン、ジュース、ビールはもちろん、歯ブラシなども販売されていました。
なお、こういった小さな売店では直接仕入れ業者から仕入れをしているケースはほぼないようです。こういった小分けパックが何十個でひとつのパッケージにしてスーパーマーケットなどで販売されているのです。イメージするならば、お菓子のバラエティーパックみたいなやつですね。ひとつの袋に沢山小分けパックのお菓子が入っているアレです。
彼ら売店の店主はそれらを買い付けて、若干のマージンを乗せて販売しているということになります。ユニリーバやネスレなどはすでにこの仕組を見越して、スーパーマーケットには小分けパック商材を製造して卸すようにしているのではないかと思われます。
ちなみに僕はこれまで南北アメリカ大陸、アフリカを中心に多くの国々を見てきましたが、それらの売店やスーパーマーケットには必ずと言っていいほど、ユニリーバ、ネスレ、P&G、マース、キャドバリー、コカ・コーラなどの製品が並んでいました。日本企業だと、日清食品や東洋水産のラーメン類、味の素、ヤクルトなどが奮闘していましたが、まだまだ国外企業に比べると日本企業の海外進出は弱いのでしょう。
(アジアでは日本企業が奮闘していると聞くので今後のアジアを楽しみにしています。
しかし、中南米やアフリカではすでにユニリーバを始めとする企業が力強く活動しています。アジアも大切ですが、その後に来ると言われている南米やアフリカの市場も攻めて行かねばならないはずです)
参考までにこちらはユニリーバの海外展開がわかるWebページです。彼らの世界展開力は本当に凄いです。
逆に言えば、花王、ライオン、森永製菓、明治製菓などは海外で見掛けたことが僕はまだありません。日本製品はクオリティが高いのに、日本国内でしか販売されていないことが多いのです。
(海外で営業出来ていない、受け入れられていないということになると思いますが)
ブラジルで出逢った広告会社で働くブラジル人が、今度日本に行くことを楽しみにしていました。
彼は日本に行ったらスーパーマーケットに行って買い物をしたいと。
僕も趣味でスーパーマーケットは巡りますが、なぜ開口一番にそれが出たのか疑問に思って尋ねたところ、彼はこう応えました。
「日本のスーパーマーケットには海外では購入できない日本製の質の高い製品が並んでいると聞いたからさ。とても珍しい物ばかりが売られているんでしょう? 楽しみだよ!」
僕は、日本は携帯電話だけではなく、スーパーマーケットの棚もガラパゴス化してしまったんだと悟りました。どんなに質の高くて良い製品でも、他国で評価されて、売れるカタチにしなければグローバル競争では勝てないでしょう。
日本企業も海外展開・BOPビジネスに取り組み始めているという話をよく聞きますが、まだまだ世界各地の庶民が訪れるスーパーマーケットという現場では見掛けません。5年後には日本企業のブランドが当たり前のように海外のスーパーマーケットや売店の棚に並んでいることを期待しています。
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