2位 佐野研二郎氏、五輪エンブレム制作過程を解説「自身のキャリアの集大成であり、盗用疑惑は事実無根」
広告界にとどまらず社会的話題に
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて制作されたエンブレムのデザインをめぐる話題は、社会的にも大きな話題になった。
国内外から集まった104作品から、「デザインとしての美しさ、新しさ、強さ。そこから生まれる展開力」を評価され、7月に採用が決まった佐野研二郎氏のデザイン。しかし、そのわずか数日後に状況は一変する。ベルギーの「リエージュ劇場」のロゴに酷似しているとして、ロゴ制作者が国際オリンピック委員会(IOC)に今回の五輪エンブレムの使用差し止めを求めて提訴。騒動となったことを受けて、佐野氏が8月5日に都内で開いた会見の模様を伝えたのが本記事だ。
会見では「きちんと自らの言葉で説明すれば理解いただけるのではと思い会見に臨んでいる」という言葉の通り、デザインや制作意図、オリジナリティの根拠について自ら詳細を解説したものの、その後、同氏のデザインは白紙撤回された。新たなデザインは10月から再度公募され、1万4599件の応募があった。第1次デザインチェックの模様がインターネットで配信され、およそ4万人近くが審査風景を視聴したことも話題に。
「エンブレム」は、2015年のユーキャンの「新語・流行語大賞」のトップ10にもランクインした。
3位「誰が電通人をつくるのか」—白土謙二 最終講演
電通人からのラストメッセージ
「今日は『誰が電通人をつくるのか』というテーマで、僕がどういう人たちと出会うことで成長してきたのかをお話しします。教えていただいたことと、そこから学んだことを紹介することが、教えてくれた方々への最大の恩返しになると思うからです」。白土謙二氏の“電通人”としての最後の講演。本記事は、38年間一筋で勤め上げた白土氏が、電通人生を振り返った講演内容を収録したもの。1977年に入社以降、広告・クリエイティブにとどまらず、ブランドや企業カルチャーといった経営領域におけるコミュニケーションまで手掛けてきた白土氏は、2015年3月に電通の特命顧問を退任した。
クリエイティブの才能のなさを痛感する新人時代、大手企業の社長から「誰がこんなひどいものをつくったんだ!」と怒鳴られたエピソードなどが、赤裸々に語られる。また「どんなに素晴らしい教えでも、自分で試してみて、良いと思ったものだけを『実戦知』として取り入れてきた」と自らのキャリアを築いてきたマインドも伝授。電通人・白土氏はどのようにつくられたのか。これからの広告界を担う、若い電通人たちに向けたラストメッセージとして、多くの反響を呼んだ。
12月29日に発売される『宣伝会議』2016年2月号の特集は、「読めばアイデアが湧く!メディア・テクノロジー・クリエイティブ 注目トレンド 2016」、「次なるヒットのヒントを掴む 2015 年の広告界を総決算」。2015年に話題になった広告界のニュース、トレンドを読み解きながら、2016年の広告界を大予測します。ぜひ年末年始のタイミングでご一読いただければと思います。