アンバサダーとの共創も魅力的
五味田:三つめは、いわゆる共創です。昨年、アンバサダーの声を集めた店頭POPを作りました。これは評判もよく、手応えを感じており、今年も作りたいと思っています。メーカーによる独りよがりなメッセージに比べて、実際のファンの言葉は、消費者から共感が得られやすいと思います。こうした取り組みを、今後も広げていくつもりです。
藤崎:アンバサダーの声を活用するのは、可能性がありますよね。
五味田:今回、店頭POPに使わせてもらったアンバサダーの方々に連絡をとったところ、みなさん、すごく喜んでくださいました。その声を社内の営業にもシェアしましたが「こんな風にファンのいるブランドに自分は関わっているんだ」と、気が引き締まったようでした。社内の活性化という意味でも、とても有意義な取り組みです。
四つ目として、「まとめサイト」が挙げられます。実はオールブランはECサイトでよく売れている商品です。そうしたECサイトと連携させる方法として、アンバサダーの声を活用できないかと考えていました。そこで、今までバラバラだったアンバサダーのブログなどの情報を集約することにしました。
今はCMを見ながら、同時にスマホで検索する時代ですよね。その時にブランドからの情報と一緒にアンバサダーさんからの情報も出ると、商品購入への後押しになると思います。
この「まとめサイト」に関しては、リスティング広告も打っていて、例えば便秘に悩む方や、食物繊維が足りないと思っている方が検索した時に、まとめサイトに誘導をかけることもしています。その辺は、今後さらに強くしていきたいと思っています。
藤崎:リスティングとの連動はいいですよね。ユーザーが検索した時に、目につきやすいところに情報を届けられるのがリスティングのメリットです。ブランドが作った情報同様に、この「まとめサイト」の価値も高いとすれば、コスト効率も期待できます。
五味田:アンバサダープログラムには将来的な可能性がたくさんあることに気付きました。これは実際にやってみてわかったことで、私たち自身が本当に驚いています。社内でもとても評価され、期待されています。この取り組みは、今後もマス広告と両輪で行っていくつもりです。
今回のポイント
- 市場拡大に向けて、クチコミとつきあう必要があった。
- アンバサダーの力でブランドの課題を解決する。
- メーカー発信の言葉は信用されにくい。
- アンバサダーとの共創も魅力的
- クチコミまとめサイトの効果が高い
今回のまとめ
一般的に広告は「広く人に伝えること」が目的であり、マス広告のメカニズムがパワフルな効果を発揮します。しかし、発売から長い年月がたっているブランドが課題を解決するためには、どのような手段があるのでしょうか。日本ケロッグは、市場の拡大とブランドの課題解決のためにクチコミの活用と、ファンとのリレーションに踏み出しました。このインタビューで紹介された4つの内容はどれも特別なことではありません。でも、その組み合わせによって、大きな成果を挙げることができました。企業がブランドのファンと一緒に活動を行う大きな可能性を感じる事例ですね。
今日は施策編でした。次回は成果編をお届けします。