顧客が欲しいものを、顧客に聞くのは時間の無駄なのか?

マーケティングの責任放棄にならないために

例えば、マクドナルドではヘルシーメニューが大ヒットにつながらないというのは、ある意味ヘルシーな野菜メニューを食べたい人からしたら、マクドナルド以外に選択肢がたくさんありますから当たり前とも言えます。

だからといってヘルシーなメニューが、マクドナルドに全く必要ないかというと、それも違うはずです。時代の変化や、顧客のニーズの変化によって、マクドナルド側も常に変化を求められています。

実際に、マクドナルドのサイドメニューにサイドサラダが常連の選択肢として入っているのが象徴的なように、数十年前に比べると、明らかにヘルシー系メニューが増えています。

例えば、子どもがマクドナルド好きだから、月に何度も通っている母親がヘルシーメニューを選択できるように、ある程度増やす必要があるかもしれません。ヘルシーメニューが増えることによって、友達同士で食事に行く際に、マクドナルドという選択肢に反対する人を減らすことができるのであれば、ヘルシーメニュー単体で利益が出なくても存在意義があると考えることもできます。

顧客の声を元にどのような打ち手を考えるかということこそが、マーケティングの役割と言えます。

そういう意味では、顧客にアンケートをとって、そのアンケートの結果をそのまま反映することは、マーケティングの責任放棄とも言える行為です。だからこそコトラー教授をはじめ、多くのマーケティングの権威が、顧客に正解をそのまま教えてもらおうとする行為を厳しく批判するのかもしれません。

『顧客視点の企業戦略』
著:藤崎実 徳力基彦
発行:宣伝会議(2016/3/1発売)

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徳力基彦(アジャイルメディア・ネットワーク 取締役 CMO ブロガー)
徳力基彦(アジャイルメディア・ネットワーク 取締役 CMO ブロガー)

徳力基彦(とくりき・もとひこ)NTT等を経て、2006年にアジャイルメディア・ネットワーク設立時からブロガーの一人として運営に参画。「アンバサダーを重視するアプローチ」をキーワードに、ソーシャルメディアの企業活用についての啓蒙活動を担当。書籍「アンバサダーマーケティング」においては解説を担当した。

徳力基彦(アジャイルメディア・ネットワーク 取締役 CMO ブロガー)

徳力基彦(とくりき・もとひこ)NTT等を経て、2006年にアジャイルメディア・ネットワーク設立時からブロガーの一人として運営に参画。「アンバサダーを重視するアプローチ」をキーワードに、ソーシャルメディアの企業活用についての啓蒙活動を担当。書籍「アンバサダーマーケティング」においては解説を担当した。

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