キヤノンの御手洗冨士夫会長は10日、都内で講演し、2015年にグループの売上高5兆円(09年12月期は3.2兆円)を目指すなど同社の事業方針について紹介した。新規事業の育成による事業ドメインの拡大にあたり、御手洗会長は「『編集力』によるイノベーションが重要」と強調した。
同社はこれまで、技術力によるイノベーションを前面に打ち出してきた。これに対し御手洗会長は、「編集力により、既存技術を独自の発想で組み合わせることで、創造的な製品を生み出すことができる」とし、その例として米アップル社の高機能携帯情報端末「iPad(アイパッド)」を挙げた。
キヤノンは主力のオフィス機器やプリンター、カメラなどに加え、今後の注力分野に「メディカル(医療)」「産業機器」「安心・安全」の3つを掲げている。メディカル分野は15年に、現状の3倍以上となる1000億円、産業機器は1兆円規模を目指すと明かした。
地域展開では、「『世界の工場』から『世界の市場』へ変貌を遂げた」として、アジア強化の方針を鮮明に打ち出した。グループの地域別売上高比率によると、アジア・オセアニア(日本除く)は2000年の9%から、2010年上期は22%に拡大している。