私がカンヌに来る最大の目的は、人に会うことです。知っている人と再会する、知らない人と出会う。人と会い、話をすることが最大の目的です。
作品は、この場に来なくても、オンラインでいつでも見ることができる。しかもカンヌに限らず、広告賞の作品は目線が過去に向かっているもの。作品のアイデアが生まれたのは、企画が形になる1年以上前ですし、すでに終わったキャンペーンがエントリーされていることを考えれば、相当なタイムラグがあると思います。
広告賞の視点は過去に向かっている。だから、未来に向けた視点の賞を考えたいとAKQAがカンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバルと共同でカンヌの場で主催している「Future Lions」です。
課題は「5年前には実現不可能だったブランドのアイデアを考案する」こと。メディアや技術に関するルールはなくプロダクトやサービス、ターゲット顧客に対する制限もありません。完成前のアイデアの段階を評価するアワードにしたことで、未来に向けたアワードになればと主催を続けてきました。昨日、カンヌの場で受賞作品が発表されましたが、今年の作品は平均的にクオリティが高く、すばらしいアイデアがたくさんありました。
また日本からの参加も一昨年は1件だけだったのが、昨年から日本でのワークショップも開催したことで、15件近くに増え、さらに今年は25件の応募がありました。今回は42か国からの応募がありましたが、作品数では日本は14番目になっています。
私が日本の学生さんに伝えたいのは、「君は世界で通用する」というメッセージです。日本の学生さんと会うと、とてもまじめだし、その中でも特にやる気のある人は、本当に世界で通用するレベルだと思っています。一方で日本人には「日本人には、世界で戦うなんてできないよ」と思い込んでしまっているところがある。だからこそ、気持ちの持ちようを変えるだけで世界への道が開けてくるのではないでしょうか。
取材の前日には「Future Lions」の表彰式が行われた。昨年は日本からの受賞があったが、今年は残念ながら日本の作品は残らなかった。
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