2020年は規制緩和を実現する大きなきっかけとなる——慶應義塾大学総合政策学部教授 竹中平蔵氏

東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年は日本にとって大きな転換点となる。2020年を節目とし、未来の日本をどうデザインするべきか?アサツー ディ・ケイ(ADK)と宣伝会議は10月17日、虎ノ門ヒルズにて、生活者の変化とその予測から未来を構想する特別フォーラムを開催。各界で活躍する特別ゲストや、全部で10の重要業界をカバーする、ADKの専門家集団「カテゴリーチーム」による示唆に富んだセッションが行われた。

イノベーションを起こすには規制緩和が必要

「コミュニケーション未来2020」開催にあたり、慶應義塾大学総合政策学部教授の竹中平蔵氏が「日本経済の未来」と題し、安倍政権下での経済・財政政策の現状と、2020年へ向けて日本経済が取るべき方策について基調講演を行った。

竹中氏は、日本経済を語る前提として3つの事象を紹介。

ひとつは、2013年の日本の株価が先進国中最大となる57%の上昇を記録したものの、株価の水準はリーマンショック前の2007年には及んでいないというもの。

次に、森記念財団が調査・発表している「世界の都市総合力ランキング」で4位の東京が3位のパリに肉薄し、近い将来追い抜くであろうという予測を話した。これはASEAN諸国向けのビザ発給条件緩和などで訪日観光客が増えた結果で「きちんとした政策を行えば結果は出るということ」と解説した。

一方で総合得点を見ると、1位のロンドン、2位のニューヨークからは離され、5位のシンガポール、6位のソウルとの差は縮まっており、世界規模で見た変化はより早く、急激に動いていて、油断はできない状況にあると加えた。

最後に、イギリスの週刊新聞「The Economist(ロンドンエコノミスト)」が行った2050年の長期予測で、「これからの世界は徹底的なシュンペーター的競争の世代に入っていく」と指摘していることを挙げた。

シュンペーターとはイノベーションの重要性を説いたオーストリアの経済学者で、つまり、今後の世界はイノベーションを競うことになると話した。また、グローバルな競争社会において中心となる言語は英語であるという予測も紹介した。

竹中氏は、イノベーションを起こすためには規制緩和が必要で、国際化を進め、英語を身につけるという日本が未だ成果を残していないこの2点に注力すべきだと話した。

3つの事象いずれも「変化の方向は正しいが、その実態はまだ不十分であることをシンボリックに表している」と指摘し、日本経済がより良くなるためにはさらなる努力が必要であると話した。

次ページ 「アジア諸国の経済成長と日本にとってのビジネスチャンス」へ続く

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