【前回コラム】「今だから話せる!?「芸能人は歯が命」CM制作の舞台裏(ゲスト:佐藤由紀夫さん)【前編】」はこちら
今回の登場人物紹介
※本記事は11月28日放送分の内容をダイジェスト収録したものです。
電通社内で「病院」と呼ばれている
中村:由紀夫さんは電通で、クリエイティブの若者に対する新人教育的なこともなさっていると聞きました。
佐藤:はい。積極的にはあまりしてませんが、やってます。
澤本:「病院」と呼ばれていると。
佐藤:具合が悪くなった人はみんな僕のところに来るので「病院」と呼ばれています。人だけじゃなくて、具合が悪くなった企画も来ます。「どうしたらいいでしょうか?」と。「ここは病院じゃねーんだ」といつも追い払ってますけど。
中村:若者にとってはそういう駆け込み寺みたいなのがあるといいですよね。
佐藤:このへんがいた頃は、まともに機能していなかったけどね。
権八:「このへんがいた頃は」って澤本さんはまだいるでしょ(笑)。
佐藤:澤本さんがまだ平民だった頃。今はそんなに軽々しく行けないでしょう。
中村:巨匠。
権八:澤本さんは雲の上の人になって。
澤本:僕、死んでるじゃないか。
一同:笑
権八:そういう意味じゃなくて(笑)。
中村:由紀夫さんから見て、クリエイティブ系の若者やCMプランナーで、昔と今で違うところはありますか?
佐藤:中村さんの存在が何となくそれを示唆していて、Webなどもひっくるめてクリエイティブと呼びはじめていますよね。プランナーはセリフを書く職人です。多田さんなど、ああいう人は。それに特化した人はあまりいない感じがしますね。
中村:いなくなっているんですか?
佐藤:ほぼいないですね。僕の下に橋本(卓郎)くんという東大の優秀な・・・。
澤本:彼、企画上手じゃないですか。
佐藤:上手ですね。でも卓郎もセリフになるとちょっと甘いもん。聞いてるかー?
中村:聞いてますか、卓郎さん? 甘いですよ、あなたのセリフは。
佐藤:この間、多田(琢)さんと対談したときも「セリフをどうやって書いてます?」という話をして。セリフの書き方とコピーの書き方がまた違うじゃないですか。音で聞いて気持ちいい“くる言葉”って。今プランナーになる若い人は、耳で聞いて“くる言葉”をなかなか突き詰めるタイミングがないんだよね。
澤本:そうか。僕らはセリフの書き方を教えてくれと言われても教えられないもんね。
佐藤:それだけは教えられない。
澤本:耳で聞いて気持ちいいということで判断しているから。語順もね。
佐藤:どっちがいいの?みたいなことは聞いて考えるしかないもんね。
澤本:コピーは教えようと思ったらできるけど。
佐藤:形になっているから見られるけど、セリフは自分で録音して聞いても気持ち悪いだけだしね。だから、無理ですよね。それはできないですね。