「ひたむきに怪しいものを追求する」 — 『月刊ムー』編集長に直撃

数ある雑誌のなかでも異端な存在感を放つ『月刊ムー』。大ヒットアニメ映画『君の名は。』にもさりげなく登場し、SNSなどでも話題に。一般的にはオカルト雑誌という見方もあるが、それが単なるオカルト雑誌であれば、37年間も続かないのではないか。ならば一体何なのか。謎めく同誌の三上丈晴編集長に聞いた。

※本記事は、10月31日発売の『編集会議』に掲載されている記事の一部を編集したものです。

『月刊ムー』編集長 三上丈晴氏

1968年青森県生まれ。学習研究社の雑誌『ムー』の第5代目編集長。筑波大学自然学類卒業後、1991年学習研究社(学研)入社。『歴史群像』編集部を経て、入社1年目から『ムー』編集部。2005年より現職。

 

—2016 年11 月号で創刊37 周年を迎えましたが、『ムー』は一体何雑誌なのでしょうか。

よくオカルト雑誌だなんて言われますけど、正確には違うんです。オカルトというのは神秘的なものですが、『ムー』が扱うのは、思想や美学、宗教などです。要するに哲学なんですよ。だから『ムー』は哲学誌なんです。

—なるほど。では読者はどのような方々なのでしょうか。

読者層は中高生~80代まで、かなり広いですね。なかでもコアな読者は、30代後半~40代の方々です。おかげさまで長く読まれているので、『ムー』を知っているという若い世代は、ご両親が読者だったというケースが少なくない。たとえば、タレントの中川翔子さんは、お父さまが『ムー』の読者だったそうで、彼女自身も幼い頃にイラストを投稿してくださっていたようです。

—これまでにも、タレントや芸能人をはじめとする著名な方々が誌面に登場されていますね。

依頼をするのにも、芸能人の方々だと、なかなか事務所が取材許可をしてくれないこともありますが(苦笑)。ただ福山雅治さんも、テレビなどで『ムー』のファンであると公言してくださっていますし、ありがたいですね。

—そもそもどのような経緯で創刊されたのでしょうか。

うちはもともと「学習研究社」という名前で、小中高校生向けのお勉強雑誌をつくっていました。それらの雑誌で毎年夏休みの時期になると、オカルト系の特集を組んでいたんですが、そうした特集はもう売れまくっていたんですね。読者アンケートの結果も、毎年断トツ1位で。当時、1970年代後半といえば雑誌の創刊ラッシュの時期ですから、ならばそれだけの雑誌をつくってしまおうと、1979年に『ムー』が創刊されました。それから隔月から月刊になったり、大人向けの内容にリニューアルしたりというのを経て今に至ります。

—そんなに頻繁に怪奇現象などが起こるわけではないと思うのですが、毎月の企画を考えるのは大変ですね……。

それはもう、“偉大なるマンネリ”ですよ。だからといって何でもかんでも載せているというわけでもないです。『ムー』は、あくまでも研究家の方々の仮説や意見を載せています。ですから、ネタも基本的には研究家の方々と相談しながら探していますね。あるいは、アメリカの「EARTHFILES」「PARANORMAL NEWS」などの専門サイトで情報を拾うこともあります。

—それにしても、ネタ探しは大変そうですね。

デジタル化も進める『ムー』。真実を語る唯一のバラエティ番組として「MUTube」を放映し、三上編集長がMCを務める。

たしかに、ある程度素材は限られています。ただ、それをどう料理するかが編集者の腕の見せどころです。「UFOの正体は何か」というテーマを扱うのならば、たとえば1月号は「UFOは金星からやってきました。金星人の乗り物です」とし、2月号は「UFOは未来からやってきました。だからタイムマシンです」とする。さらに3月号は「UFOは地底からやってきました。つまり地底人の乗り物だ」と、切り口を変えていくわけです。そこに矛盾があってはいけないですが、まあ色々な説がありますからね。

『ムー』が愛され続けている理由はどんなところにあるのか、続きは誌面をご覧ください。

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