サカナクション山口一郎が語る、企業ブランドとロックバンドの新たな関係

企業の自社ブランディングにおいて、視覚デザインや機能性には徹底してこだわっても、「音」が盲点になっているブランドは少なくない。そんな中、音を一つのブランド接点と考える決済ベンチャーと、音楽を生業とするミュージシャン–今まで遠い存在だった2者がつながり、ブランドを構成するパートとなる新たなサウンドが生まれた。Origami代表取締役社長 康井義貴氏と、同社が手掛ける決済サービス「Origami Pay」の決済サウンドを手掛けたサカナクション 山口一郎氏に、今回の取り組みについて話を聞いた。

Origami本社にて。左からサカナクション 山口一郎さん、Origami代表取締役社長 康井義貴さん。

CMタイアップ以外の新しい「企業×音楽」の形

—今回、「Origami Pay」の決済サウンドの制作にあたって、サカナクションの山口一郎さんに依頼されたのはなぜでしょうか。

康井:山口さんとは、ある時食事をする機会があって、音楽ビジネスの在り方について2人で話をしたことがあったんです。私はOrigamiの代表取締役社長として、企業としてもどう音を使っていくか考えるべきだという思いがあって、一方で山口さんは企業の音のデザインに取り組んでいるという話があり、以来何か一緒にやりたいという思いがありました。

ちょうどその時「Origami Pay」のローンチに向けて準備を進めていたタイミングだったので、だったらありきたりな決済音ではなく、サカナクションの音になったら最高だよね、と考えてお願いすることになりました。

—山口さんは、今回の「Origami Pay」とのお取り組みをどのように捉えていますか。

山口:ミュージシャンとして、企業とダイレクトにつながって音を作っていく、初めての取り組みでした。現状、ミュージシャンが企業と結びつく機会は、タイアップCMソングくらいしかないんです。そんな状況の中で、企業と音楽、商品と音楽が、もっと密接につながる方法がテレビCM以外にあるはずだ、音で企業をデザインできるはずだ、という思いをずっと持っていました。

今回の取り組みは、その思いが実現した初めての場でした。企業の方と直接議論して音を作っていくという新たな仕事を成功させれば、ロックバンドとして音楽を軸にした全く新しい取り組みができる、という気持ちで臨みました。

康井:その感覚は、Origamiに入ってくるエンジニアにも近いかもしれません。Web制作を受託していた会社からOrigamiに移ってくる方はたくさんいます。みんな「ただ請け負ったものを作って納品する」のではなくて新しくサービスを生み出すところからやっていきたい、と考えている。その感覚に似ているかもしれません。

次ページ 「BusinessとConsumerをつなぐコミュニケーションポイントとしての「音」」へ続く

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