スマートフォンやSNSの普及などに見られる情報発信技術の向上は、世の中を便利にした半面、誰でも簡単に発信者となりうる状況をつくり出した。ウェブ上では簡単に情報をコピーしたり発信したりできるようになり、近年は「偽(フェイク)ニュース」などと言われる情報が広く拡散してしまうという問題も明らかになってきている。
そのような中で、企業の広報活動においても著作権への意識を高く持つことが求められている。企業としてニュースや写真素材などを扱うにあたり、著作権を侵害したという事態になれば企業の信頼や評判を毀損する可能性もある。そのため、近年はコンプライアンスの専門部署やチームを創設し広報部との連携を強めるなど、対策を講じる企業も多くみられる。
企業に求められる著作権処理
「ここ数年で広報担当者の著作権に対する知識は向上したように感じますが、社内には各部署で運用しているSNSアカウントの管理者や、自社商品の掲載記事を営業活動に活用したい社員などもいる。広報以外にも、知識を身につけるべき人は多く存在します」と語るのは、約1300社の企業や官公庁にクリッピングサービスを提供しているエレクトロニック・ライブラリー(ELNET)の山下敏永副社長。本特集でも紹介した通り、「自社商品が紹介された新聞記事の本文をサイトに掲載する」
「全文が見えない程度に新聞記事を写真で撮影し、SNSで紹介する」ことなども著作権侵害にあたることを社内全体に理解させることが重要だ。
著作権侵害を防ぐための最も良い方法として、山下氏は「各媒体社から直接、コピーや二次利用の許諾を取ること」を勧める。とはいえ、記事ごとに一件ずつ申請していては時間やコストの面から難しいと感じる担当者も多いだろう。そこで求められているのが著作権処理を代行する仕組みだ。
ELNETが提供する新聞記事クリッピングサービス「モーニングクリッピング ネットワーク型*1」では約100紙の新聞記事を登録されたキーワードに基づいてクリッピングし、朝一番に社内に配信する。提携している新聞社や通信社から著作権の許諾を取ってサービスを提供している点が特徴だ。「クリッピング会社から納品された記事は既に著作権も許諾済みだと思っていた、という声をよく聞きますが、許諾の有無はサービスを提供する会社によって異なります。確認せずに使用すると知らず知らずのうちに著作権を侵してしまう可能性もあり、利用者側にも注意が必要」と呼びかける。
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