広報歴3年目で学び直し、期末の査定で評価アップ

人が資産と言われる広告界。人材育成は、広告界に属する企業に共通する重要課題だ。社員のスキルを伸ばし、成長を続ける企業に人材育成の方針を聞く。

日本財団パラリンピックサポートセンターは、「一人ひとりの違いを認め、誰もが活躍できるダイバーシティ&インクルージョン社会」の実現を目指し、2015年5月に活動を開始した組織だ。大きく2つの事業を行っており、パラリンピック競技団体の基盤強化支援と5年間で2,000回(37万人)実施しているパラスポーツの普及活動がある。また、広報活動においては、財団の活動を広報するPRチームと、WEB、SNSチームがあるという。

日本財団パラリンピックサポートセンター 広報部 PRチーム
松尾 桃子氏

松尾氏は、地元の市役所職員を11年を経験。のちにイギリスに留学。シンガポールで再就職し、帰国後 国立研究開発法人で翻訳実務を担った。その後、スペシャルオリンピックス日本で総務・ガバナンス対応・役員秘書を経て、2017年11月に同センターに広報担当者として入職したという。そんな松尾氏の担当業務は現在、同センターのメディアリレーション、「あすチャレ」事業のPRやフリーマガジン「GOジャーナル」企画だ。

それまで松尾氏は、広報は未経験であった。入職後に、同センターのベテラン広報担当者のもとで、リリース配信の基礎や記者会見の準備から当日対応を、OJTを通して身につける日々であったという。例えば、2020年に予定されていた東京大会開催に向け日本での期待の高まりもあって、平昌2018冬季パラリンピックの前後にはイベントと記者会見の開催が多くあったそうだ。こうしたことがあって、松尾氏の広報に対する当初の印象は「とにかく体力勝負な職種だな」と思ったという。

19年には、OJTを通して必要を覚えたスキルを身につけるべく、宣伝会議の『広報担当者のための法務・倫理講座』と『メディア基礎講座』を受講した。その後20年に、コロナ禍でテレワークが推奨され、悩ましくも記者会見が減り、落ち着いて広報活動を振り返る機会が得られたという。そのタイミングで、PR会社の振替えを検討している時に、偶然『広報担当者養成講座』を見つけ、まずは体験講座を受講した。

「体験講座の内容が魅力的で、これはもっと学びたい、きちんとできるようになりたい!」と思い、上申して、20年6月からオンライン開催の『第29期 広報担当者養成講座』を受講することになった。20年12月の今振り返ると、「広報を担当して3年目のタイミングで、受講して良かったです。講座が3ヶ月続くのは長いかなと思ったけれど、あっという間でした」という。

次に、講座で学んで実践していることを聞いた。

まずは、センターの職員たちと、いっそう良好な関係を築くことに心を砕いたという。「事業部との連携を今まで以上に深めました。不安と手探りの日々でしたが、講師の皆さまが『まずは社内の御用聞きになることが大事』と原点に立ち返るアドバイスをくださいました。コロナ禍では、テレワークが中心となっているので、オンラインでのミーティングを設定することが増えました。しかし、それだけでは得にくい情報があると感じ、オフィスで顔を合わせた時により踏み込んだ話を聞くようになりました。どうすれば社内でコミュニケーションが活性化し、広報に情報が集まるようになるか、という発想をするようになりました。そうすることで、職員たちに信頼してもらえると、新しい情報を個別にもらえるようになりました」と話す。

また、メディアリレーションにおいて、全国でより良い広報対応を行うために、マニュアルなどを見直したと話す。「私たちは、全国でパラスポーツを通じた教育事業等を多数開催しています。現地で取材帯同が出来ない時のための、メディア向け当日配布資料を充実したり、事後の素材提供を丁寧に対応するなどを心がけました。これは、オンライン化した事業の取材案内を出したとき、ニュース性があっても、メディアの方にとっては、視聴者に伝わる画が撮れないという理由で、取材につながりにくいと感じたことも一因でした。現地で対応する事業担当スタッフを通じメディアが求める情報をしっかり伝えてもらうことで、現地メディアの取材件数も増えました」。

その他にも、ニュースを考える際に、ものの見方、発想の仕方が変わったという。「さまざまな変化があったと感じますが、特に大きな変化は、プレスリリースを『メディア目線で書く』ということでした。これまでとは少し異なる、新しい切り口を考えるきっかけができました。また、講義で登壇した講師から学んだ、『へぇ、を発信する。面白く思ってもらえる情報じゃないと、確かに取り扱ってもらいにくい。』ということも痛感しました。まずは、告知が宣伝にならないよう表現を改めるようになりました。そのうえで、メディアの方や生活者の方は何に興味があるんだろうか、発想を改めるようにしました」という。

こうした事業部との連携を深めたことで、「各現場から、広報との連携が取りやすくなったという意見が寄せられ、期末の査定で評価アップにつながりました」と話す。

そんな松尾氏にこれからの抱負を聞いた。「私たちは、パラスポーツに関わる広報活動を5年行ってきた実績があります。だからこそ、これからは一段上の広報活動を行わないと、この流れを発展させていくのは難しいと感じています。そのためにも、これまでと異なる新しい切り口を考えて、発信していきたいです。講義では、もう一段上のテクニカルなノウハウも教わったので、これまで取り入れたことのないPRツールも活かして、さらに効果的な広報活動を展開していきます」と語ってくれた。

クリエイティビティ溢れるデザインでパラスポーツの可能性を発信する『GO Journal
広報の考え方を体系的に習得するため、松尾氏が受講した講座は……
「広報担当者養成講座」でした
 

広報業務の重要性が高まる一方で、業務の基本、また広報がカバーする分野を実務に活かせるレベルまでを学ぶ機会は少ないものです。
 
本講座は、広報に求められる資質、社内情報が集まる仕組み、報道関係者への対応など広報が身につけておきたい基本を全10回でマスターできるカリキュラムとなっています。

 
<次回の開催日程〔オンライン開講〕>
■講義日程
第31期 2021年2月26日(金)開催
■受講定員
60名を予定

 
詳細はこちら
 

お問い合わせ
株式会社宣伝会議 教育事業部
MAIL:info-educ@sendenkaigi.co.jp

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