編集部に届いた広告界ユニーク年賀状\2022/「虎」10選

新年あけましておめでとうございます。
仕事始めを迎えられた方も、これからの方も。さまざまな形態で年賀状や新年のご挨拶が届いているのではないでしょうか? まだまだ人との交流が制限された2021年。新年最初の交流ともいえる、年賀状が届く喜びもひとしおです。

宣伝会議の編集部には毎年、広告会社や制作会社、デザイン会社といったコミュニケーションのプロから、ユニークな年賀状・ホリデーグリーティングが数多く届きます。今年もその中から秀逸だった事例をピックアップしてお届けします。

まずは今年の干支、「虎」を前面に出した年賀状10選から!

鬼のサステナブルパンツ/キュー

サブタイトル部分「ONI‘S UNDERWEAR IS A VERY GOOD ONE, VERY STRONG(鬼のパンツは良いパンツ、強いぞ~~♪)」。

クリエイティブカンパニー キューから届いたのは、「鬼印謹製 SUSTAINABLE PANTS」。
サステナブルなパンツとは、何とも今風の打ち出し方です。

「10年、100年はいてもやぶれない」パンツへの期待が膨らみます。

外装を開けると、スマホや小物を入れるのにぴったりな虎柄の巾着が。でもパンツではなかったのか……と思いきや、ストーリーが書かれていました。

鬼も心なしか優しそう。

意訳すると、「鬼がいらなくなったパンツを鬼ヶ島でピックアップし、選別。再利用可能なものを用いて巾着にしました!」でしょうか?

「鬼の良いパンツ」は、地球にも良いパンツだったのですね。

「絶縁」を越えてボーダレスに/BULLET

アートディレクター 小玉文さんが代表を務めるBULLETからは、毎年あっと驚く表現の年賀状が届きます。

今年は虎の黄×黒のシマシマに、中央に絶縁テープがはめられた正方形のもの。
少し離れて見ると、「二〇二二」の文字が描かれているのが分かります。

「絶縁を越えて、BORDERをBORDERLESSに」という願いがこめられているそう。

「コロナの影響で、いろいろなことが分断されてしまった世の中。物事を控えめにしたり、つい諦めがちになったり……。しかしBULLETは、無駄に凝りまくった年賀状をつくることを今年も諦めていません!」と小玉さん。

裏面

「ドキドキハラハラさせる一年にしタイガー!」/スタジオディテイルズ

名古屋に拠点を置くデザイン会社 スタジオディテイルズは、「新たなチャレンジにトライし、ドキドキハラハラさせる一年にしタイガー。」と題して、洗濯バサミを虎の牙に見たてた年賀状が届きました。

箱に入った状態。歯の部分のギザギザ、見えますか?

開けた状態。反対側はこんなつぶらな瞳でした。

ちょっと申し訳ない気がしつつ、顔を開けるとこんな感じに。洗濯ばさみの厚みの分、虎の厚みも出ています。

「虎のように牙でクリエイティブに噛み付いていく様、またアウトプットを通してドキドキハラハラさせる一年にしたいという思いを込めて制作した」とのこと。詳しい制作の経緯が、同社のnoteに書かれています。

昨年も、ピンク色のゴム手袋の指先の部分を牛のお乳に見立てた年賀状がキラりとひかっていたスタジオディテイルズ。うさぎ年はどんなアイデアが生まれるのか楽しみです。

虎の尻尾で「22」catamari

名古屋に拠点を置くクリエイティブエージェンシー catamariから届いたのは、ゆるりと巻いた虎の尻尾が入ったこちら。

アルミ袋に2本の尻尾メッセージと共に同封されています。

 
尻尾は「2」の形になっていたので、袋を開けて並べてみました。
それぞれ黒い部分と金の部分が少し盛り上がっており、クラシカルな佇まい。

裏側はそれぞれ金と黒一色です。

攻めのタイガーマスク/kiCk

続いてクリエイティブエージェンシー kiCk。タイガーマスクを彷彿とさせる、厚紙+箔押しの変型の年賀状です。

裏には「ROOAAARRR!!!(叫べ~~!!!)」と書かれていました。

左下には、同社のステートメント「GET YOUR KICKS!」。右下には「変化をトラエヨ」と記載されています。

同社のFacebookにその意図が書かれていました。

「この2年で、私たちの暮らしは、大きく変わった。
未曾有の予期せぬ変化に戸惑うこともあった。
けれど、当たり前だったものが、たやすく新しいものに塗り変えられていくさまを見て、
いつの時代も、人は変化に応えながら、たくましく生きてきたのだと、そう改めて感じる時間でもあった。
世の中は、まだ予断を許さない状況ではあるけれど、
今でしか味わえない、この変化という、時代のうねりを楽しもう。
定まることなく、常に変わっていくさまを、しっかりと見つめよう。
既存の価値観に囚われず、自らを更新することにこだわろう。
変化を捉え、人の心を捉える先に、まだ見ぬワクワクを感じながら。
さあ、守りのマスクから、攻めのマスクへ。」

宣伝会議のメンバーも攻めのマスクで頑張ります。

“無意味”な冊子/松田洋和さん

グラフィックデザイナー 松田洋和さんから届いたのは「meaningless」(無意味)と名付けられた冊子。

黄色と黒色で構成されたリボンのようなイラストがのった表紙をめくると、円や多角形
曲線などから成るドローイングが8ページにわたって描かれています。

リボンの表と裏が交互に見えるさまは虎柄のよう。

「meaningless」というタイトルなのに、どうしても数字の意味を考えてしまいます……。意味を求めすぎずに、感じたものをそのまま受け止めることも重要だというメッセージでしょうか。

『ブレーン』2020年12月号でもトビラのデザインをしてくださった松田さん。そちらも是非ご覧くださいね。

収納もできる年賀状/ジャイアント

毎年沢山いただく年賀状、とっても嬉しい反面、保管場所に迷う方も多いのではないでしょうか? そんな人にピッタリの年賀状がデザイン会社 ジャイアントから。

裏と表はそれぞれこんな感じ。

組み立てると、ちょうど年賀状サイズのボックスに。

いつの年賀状かも一目で分かります。片付けがちょっと楽しくなりそうです。

色部義昭さんデザインの虎/市原湖畔美術館

市原湖畔美術館からは、かわいらしい虎の親子がピクセル状のデザインであしらわれた年賀状が届きました。

ちょっと横を向いているところが可愛い。

同館のロゴやサインを含むデザインディレクションは、色部義昭さん。今回の年賀状も同氏がデザインしています。市原湖畔美術館のグレーとホワイトを基調としたピクセル状のサインの表現を踏襲した、今年らしい年賀状です。

「Kanamono」で出来た虎/cosmos

デザイン会社 cosmosから届いたのは、1辺15cmほどの金色の正方形の台紙に、黒色で盛り上げ印刷が施された年賀状。

屏風に描かれた虎のようで迫力満点です。

代表の内田喜基さんは年男だそうで「かなり気合を入れて制作した」とのこと。顔や体がネジやドライバー、クリップなどの工具で構成されていますが、これは内田さんが2011年からライフワークとして制作を続ける「Kanamono Art」の一環でつくられたものです。

「Kanamono Art」のコンセプトは下記の通り。

「父親の会社が建築用の金物屋だったためカナモノに触れることが多かった幼年時代。 義務教育の勉強がまるでダメで参考書のかわりに動物や昆虫の図鑑ばかり見ていた少年時代。 みんなが受験勉強で必死になっている時に川でどじょうや昆虫など採っていた青年時代。 このKanamono Artというライフワークは大人になってグラフィックデザイナーになりクライアントワークに追われる中、 自分自身の中に根幹にあったピュアな気持ちを具現化したいという事から生まれたモノである」。

髭1本1本もネジやドライバー。ゴールドのオフセット印刷と漆を見立てた黒の厚盛り「スコディックス」(白山印刷が得意とするデジタル印刷加工技術)で虎を表現しています。

尻尾を引くと……?/杉山ユキさん

博報堂のアートディレクター 杉山ユキさんから届いた今年の年賀状は、黄色い長方形に縞々の尻尾がついています。

まるでかくれんぼをしているかのよう。

こちらを引っ張ると、ひし形の目を輝かせる虎が。

虎の縞模様をうまく活用されています。

ちなみに反対面も、尻尾を引くとメッセージが出てくる仕様です。

何度も引いたり戻したり、遊びのあるつくりが楽しい年賀状でした。

全10の「虎」を用いたアイデア、いかがでしたでしょうか?

続編もお楽しみに!
【後編】編集部に届いた広告界ユニーク年賀状\2022/+ホリデーグリーティング はこちら

【「ユニーク年賀状」のバックナンバーはこちら】
2021年編集部に届いた広告界ユニーク年賀状\2021/(その1、「牛」篇)
2020年「編集部に届いた広告界ユニーク年賀状\2020/」
2019年「編集部に届いた広告界ユニーク年賀状 2019」
2018年「編集部に届いた、広告界ユニーク年賀状20選」
2017年「編集部に届いた、広告界ユニーク年賀状25選【2017】」

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