※本記事では『広報会議』2023年5月号(4月1日発売)「取材がグンと増える 上手い広報が実践していること」掲載記事の一部を公開します。
『地元検証バラエティ 福岡くん。』(FBS福岡放送)は、福岡県民でも見落としているような地元のネタを根掘り葉掘り検証するバラエティ番組だ。例えば、福岡県民におなじみの米菓店「もち吉」の食べ終わった四角い缶に、何を入れて再利用しているかを県民300人に調査して1時間にわたり特集。
まさに番組コンセプトである「福岡県民以外は1ミリも面白くないバラエティ」を体現している。ターゲットは福岡県民。家族揃ってリアルタイムで楽しんでもらえる番組を目指している。
企画・演出・プロデューサーの羽田野雅裕氏は「もち吉のカンカンに狙いをつけるというのは、他県の人からしたら絶対に思いつかない企画だと思います。“新しい情報”に飛びついていくよりも、地元の人間が制作しているからこそ気付ける“新しい切り口”をできる限り織り込んで構成するようにしています」と語る。
同番組は県民の深い共感を呼び、2022年の年間平均世帯視聴率は12.0%、個人7.0%(ビデオリサーチ調べ・北部九州地区)と日曜昼の番組とは思えない高視聴率を獲得している。
取り上げるネタの探し方は、視聴者から寄せられる調査依頼やSNS、スタッフが街で見つけたこと、スタッフ間の雑談・口コミなど多岐にわたる。「もち吉のカンカン」の企画は、「各家庭にあのカンカン絶対あるよね」「自分の家はこんなものを入れていた」といった雑談のなかで生まれた。
「ネタの提案時などもあまり否定から入らないように心がけて、制作会議のなかではスタッフにも『ネタは本当に何でもいいよ』という話をよくしています。ちょっと気になったことがあればすぐにカメラを持って取材へ。どんなネタでもフットワーク軽く企画にできるのはローカル局ならではの良さかもしれません」。
羽田野氏は、同局の夕方の情報番組『めんたいワイド』担当時に送られてくるプレスリリースをくまなく見ていたと語る。本取材に先立ち、同番組に寄せられた約500通から印象に残ったものをピックアップしてもらった。
最も印象に残ったのは家庭用の日用雑貨メーカーの花粉対策グッズのリリースだという。4枚1組で構成されているが、見出しや1~2ページ目に商品名は出てこない。花粉の飛散状況などの客観的データののち、3枚目でやっと…
広報会議の連載は、「宣伝会議デジタルマガジン」への登録で、ご覧いただけます。
▼過去10年分のバックナンバーもいつでもご覧いただけます▼
・岩手の魅力を再発見 視聴者と双方向で番組づくりを実現・岩手朝日テレビ『Go!Go!いわて』(2023年4月号)
・県唯一のゴールデン生放送番組 視聴者参加型の反省会も・MRO北陸放送『絶好調W』(2023年3月号)
・お金について学ぶ経済バラエティ 再現ドラマで成功までの物語描く・テレビ大阪『もしマネ』(2022年2月号)
・夢を追う人々に密着 綿密な取材で物語を描く・朝日放送テレビ『LIFE~夢のカタチ~』(2023年1月号)