10月25日~11月5日に開催された「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」に、ホンダが生成AIを使った体感型企画を出展した。「Honda DREAM LOOP AI」と名付けられたこの企画は、会期終了後も特設サイトで公開、11月末まで期間限定で体験できる。
今年のジャパンモビリティショーのホンダの出展テーマは「Honda DREAM LOOP」。ホンダが夢をかたちにしたモビリティを開発することで、顧客の夢もまた多様に広がっていくことを表現する言葉だ。この言葉を体現した企画として、ブースを訪れた人が「自身の夢」を言葉で入力すると、AIが「夢を叶えるモビリティの設計図」の画像を生成する体感型企画を実施した。生成した設計図は、カードや画像データとして持ち帰れるようにしたほか、ブース内のモニターでも表示した。
生成AIを使った理由は、「共創企画へのユーザーの参加ハードルを下げる」ため。企画のCDを務めた博報堂の酒井亮祐氏によれば、「過去多くの共創企画がありましたが、企画書上では理想的に書かれていても、ユーザーの参加ハードルが高く、実際にはワークしないことがほとんどでした。今回生成AIを使ったのは、ユーザーがたった一言打ち込むだけで、想像もつかない設計図が生成される体験をつくるためです」と話す。
生成画像を“ホンダらしい”アウトプットにするために、過去の同社のプロダクトアーカイブを生成AIに学習させている。生成されたものが一覧化されたときに美しいデザインになるように、アートディレクションでも工夫と検証を重ねながら作った。
もう1点、生成AIの使用に関して気を配ったのが、コンプライアンスだ。「生成AIによる制作物は法的に非常にデリケートです。こういう企画では、他社のキャラクターなどを打ち込む人も出てくるはずです。こうしたケースに備え、ChatGPTを組み合わせて、ネガティブなプロンプトを弾くシステムを組みました」。
生成AIを使う以外にも、ユーザーの参加ハードルを下げるUI・UXの工夫を重ねた。「いきなり『夢』を入力するよう言われても戸惑う人がほとんどです。問いかけの言葉や、画面内に参考例が見えるように設計するなど、参加しやすい工夫を盛り込んでいます」。
本プログラムは、公開後1週間で1万3000の設計図を生成、10日間で3万個のユーザーの夢の設計図を生成した。
「印象的だったのは、子どもたちが喜んでいたことです。日本はエンジニアの数が少なく、特に自動車産業は人材が枯渇しています。この企画で、少しでもつくることの楽しさを知ってもらえることを願っています」
スタッフリスト
- 企画制作
- 博報堂+博報堂デザイン+博報堂プロダクツ+ソニックジャム+NEST.O
- CD
- 酒井亮祐
- AD
- 柿﨑裕生
- 企画
- 棚橋直生、植田裕貴、川又音、汪芸佳
- ストラテジックプラナー
- 古賀晋、濱谷健史、小野万優子
- D
- 横山龍、守谷直人
- エクスペリエンスプロデューサー
- 井上裕介、松本奎史郎、長谷川愛子、市川拓史
- テクニカルプロデューサー
- 山下健太朗、村田健、宮尾敦司
- TD
- 熊谷周太、蕪山悟
- PM
- 進藤 彩、大須賀玲央奈、山本有莉、遠藤真沙美
- AIエンジニア
- 阿部和樹、小林大将
- AIモデル提供・アドバイザリー
- Stability AI Japan
- UXプランナー
- 田中賢吾
- デジタルアートディレクター+ウェブデザイナー
- 國井優史
- ウェブデザイナー
- 豊田みはる、武藤亜里紗、中田ひなの
- モーションデザイナー
- 征矢野里奈、高橋明広
- インタラクティブエンジニア
- 西田麻惟、金正運、福地あゆみ
- フロントエンドエンジニア
- 森田雄也、茅原伸幸、蓑田朋未、竹内ゆり子、槙 哲也
- バックエンドエンジニア
- 髙田巌爾、小泉恭平、進藤康平
- サーバーエンジニア
- エヌネットワークス
- XRプロデューサー・ディレクター
- 山村明日美
- XRエンジニア
- 山本萌絵、NGUYENCHAU QUYNHNHU
- XRアートディレクター
- 上岡繁
- XRデザイナー
- 小川雅之
- XR アシスタントデザイナー
- 飯島理子
- CGデザイナー
- 須藤鋭士
- BP(ビジネスプロデューサー)
- 松原規人、亀山達也、米澤俊亮、新垣駿、中林洋史、武田拓明、上田堅一、大崎知典、内田頌子、福廣咲良、滝本里緒