「宣伝会議集客・販促メディアフォーラム2012」が8月28日、29日、東京国際フォーラムで開かれ、新カテゴリを切り拓いた商品の販促、ネットと連動して店舗へ集客した施策、チラシ活用、消費者の行動観察などをテーマに、多くのセミナーが行われました。その一部を9月から10月上旬にかけて、本欄で紹介します。
ユニリーバ・ジャパン マーケティング ブランドビルディング ブランドアシスト アックス 山ノ井千草氏
アックスブランドが制汗デオドラント市場に参入
アックスは、男性ボディフレグランススプレーを中心に、さまざまな製品を展開する男性化粧品ブランドです。日本では2007年にフレグランスボディスプレーを、10年に男性ボディソープを発売。それぞれ市場を2倍、2.7倍にし、男性化粧品カテゴリーの拡大を牽引してきました。
今年3月、アックスブランドは制汗スプレー「AXE DRYデオドラントスプレー」を発売し、制汗デオドラント市場にも参入しました。ターゲットとなるM1層は、仲間意識・つながり願望が強いポストバブル世代。「ステータス」より「等身大」の自分を、「トレンド」発想よりは「スタイル」発想を、「競争と勝利」ではなく「共存と調和」を求める彼らは、女性とも対等な仲間付き合いをしています。だからこそ、仲間としての女性に嫌われたくないという気持ちは強くあるようです。そこでわれわれが掲げたキーフレーズは「ワキ汗なんかで女の子に嫌われたくない。汗かく前におさえちゃえば?」というもの。
「汗をかく=非ポジティブ」をどう転換できるか、そしてどのように話題性を高めることができるか。フェーズを商品紹介ステージと話題拡散ステージの2つに分けることで、機能性の訴求と共感の獲得を目指しました。
250万人にリーチ。機能性の高さを伝えることにも成功
商品紹介ステージでは、制汗剤の重要性を啓蒙する目的で、調査リリースの配信や「WEB R25」、ネタサイト「オモコロ」とのタイアップを実施。話題拡散ステージは、「AXE DRY」の制汗力を伝えるプロジェクトとして「制汗体験プロジェクト」を立ち上げ、激辛カレーを食べて体験できるイベント「制汗!! カレーショップAXE DRY」を期間限定で展開しました。さらにイベント期間中は、プロジェクトの話題を拡散させる目的で、デジタルコンテンツ「AXE DRY HOT ANGEL」を用意。イベントに参加できないターゲットにもリーチできるように配慮しました。その結果、今回の施策によって、約250万人にリーチし、機能性の高さを約40万人に伝えることに成功しました(いずれも推定値)。
成功の要因としては、拡散を視野にコアアイデアを開発できたこと、商品紹介ステージでイベントなどのアクティビティを実施できたこと、リアルとデジタルを連動できたことの3つが挙げられます。今後もアックスのコアメッセージ「THE AXE EFFECT(=アックスを使うと女性にモテる)」を伝えながら、右肩上がりの男性化粧品カテゴリー市場の拡大に貢献していきたいと思います。
→次回はNo.5サトーカメラです。
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