「宣伝会議販促・集客メディアフォーラム2012」が8月28日、29日、東京国際フォーラムで開かれ、新カテゴリを切り拓いた商品の販促、ネットと連動して店舗へ集客した施策、チラシ活用、消費者の行動観察などをテーマに、多くのセミナーが行われました。その一部を9月から10月上旬にかけて、本欄で紹介します。
サトーカメラ 代表取締役専務 佐藤勝人氏
衰退産業だからこそ販促部隊の出番
人口200万人の栃木県には、同県を本拠地とするコジマさんをはじめ大手家電量販店がひしめいています。そんな中サトーカメラは、県内に18店舗出店し、デジタルカメラの販売シェア約3割、デジタル一眼レフカメラのシェアは約5割を占めています。
カメラ専門店業界は衰退産業です。しかし売る方法はあります。ターゲットを絞りその人たちが買う商品を揃える、というこれまでの売り方が衰退したわけです。当社は、エリアや商品は絞りながらも、今までのターゲットだけに絞らず、いかに新たな層の顧客にカメラを使ってもらうかを考えています。従来ターゲットとしてきた人たちの需要が減っているならば、今までターゲットとしていなかった人たちに売ることで、新たに市場を創造すればいいのです。
かつて当社はクレジット機能付きポイントカードを日本でいち早く導入し、顧客の囲い込み施策を行っていました。それはそれで良かったのですが、新たな顧客に学ばなければ、新たな価値を見いだせず、商品に新たな息吹を与えることはできません。そこで3年前にポイントカードは止め、顧客管理等々に資源を投資するよりも、マスメディアを通して顧客とつながりを持ち、新たな客を集客することに投資するようになりました。
具体的には、県内で放送のテレビやラジオ、折込チラシに、スタッフが出演することで、エリア内で知られた存在になるようにしています。特に中小企業にとって集客で活用しやすいのがチラシです。エリアに集中投下できる媒体であるチラシを、私は一番安い「マスメディア」と呼んでいます。
エリア内には顧客が無限にいる
ではどの商品でエリア内を攻めればいいのか。売れ個数=顧客数ですから、集客には最も自店で認知されている「売れ個数の多いアイテム」で新たな顧客を増やせばいいのです。ただし“この商品が欲しい!”といった意識のない顧客は、ブランドで商品は買いません。「1万5千円にしては、この価格にしてはいいデジカメ」というように“グレード”で購入しています。価格の高い「上」「中」のグレードの商品は、価値が見えないと購入しませんから接客が必要になります。しかし「下グレード」の商品は店に置けば売れます。売れ個数の多いアイテムの中でも、集客の要となるのは「下下」「下」「中」グレードの商品です。
カメラの中でもデジタルカメラの一眼というように、売れ個数の多いアイテムを絞り、さらにグレードを見極めたら、それはどの客層に合う商品か、仮説を立てメディアに出ていきます。当社では商品は変えずに、切り口を変え、テレビ、ラジオ、新聞、チラシと4つのメディアを使い分けています。
「自分のため」「家族のため」「ギフト」に…と商品を変えなくても購入の切り口はたくさんあります。商品を絞ってもターゲットは無限にあるのです。地域で一番になるには、単品アイテムでまず市場を押さえ、エリア内で異常に売ってしまうこと。購入者が多いということはその街の“文化”となるのです。
→次回はNo.6アサヒビールです。
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