「宣伝会議集客・販促メディアフォーラム2012」が8月28日、29日、東京国際フォーラムで開かれ、新カテゴリを切り拓いた商品の販促、ネットと連動して店舗へ集客した施策、チラシ活用、消費者の行動観察などをテーマに、多くのセミナーが行われました。その一部を9月から10月上旬にかけて、本欄で紹介します。
アイリスオーヤマ HE事業部長 阿部裕之氏
扱う素材も、提供する商品も多種多様
「ユーザーイン発想」が支持につながった
プラスチック成形業者として創業した当社ですが、時代や市場、消費者のニーズに応える商品を供給すべく、メーカーベンダーへと業態を変えるとともに、扱う素材や提供する商品カテゴリーを多様化させ、現在では家電、日用品、ペット用品など多岐にわたる商品を展開しています。
年間1000〜1200点の新商品を発売しており、それらは毎週月曜日に社内横断で実施する新商品開発会議で生み出されています。そこでは、「消費者が求めているものとは何か」を起点に商品アイデアを発想する「ユーザーイン発想」を重視しています。
LED電球「エコルクス」も、そうして生み出された商品の一つです。当社がLED電球市場へ参入したのは2009年と後発。しかし現在のシェアは小売ベースで19%(Gfkジャパン調べ、今年5月時点)、出荷数量ベースでも21%を超えており、毎年確実にシェアを伸ばしています。このシェア拡大の秘訣は、商品開発とプロモーションの両面にあると考えています。商品開発では、「2010年に自社生産に切り替えたことで、低価格での販売を実現したこと」「消費者の『消し忘れ』の悩みを解決する人感センサー付きの商品を開発するなど“ソリューション型電球”のラインアップを拡充したこと」「白熱電球と同サイズで作ることで、これまで使っていた照明器具にも設置できるようにしたこと」などが、消費者からの支持につながったように思います。
店頭に専門スタッフを配置 “最後のひと押し”が売上に直結
プロモーションでは、歌手の小林幸子さんを起用したテレビCMや、自社企画・制作の販促ツールの効果もさることながら、特に大きな効果を発揮しているのは2002年から実施している(Sales Aid Staff:セールス・エイド・スタッフ)の派遣です。取引額の多い小売店舗にSASの契約スタッフが週3~4日常駐し、それぞれ工夫して接客販売や店頭ディスプレイの制作を行います。現在、約1000店舗に約500人を派遣しており、実施店舗の売り上げは通常店舗を大きく上回る結果が出ています。
顧客と直接対面する中で浮かび上がってきた不満やニーズをフィードバックしてもらうことで、次なる商品の開発・改良のヒントを得ることもでき、当社にとって不可欠の施策となっています。
→次回は、No.9 コカ・コーラです。
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