広告会社もデジタルシフト
参加者層に広がり
今回の開催にあたっては、1カ月前までの申し込み(以降は5000円)でキーノートに無料で参加できるようにするなど、他国開催のアドテックと同様に間口を広げた。2日間の参加費が9万円といったコストが響き、若手の参加が限られたとする声に対応した。
スピーカーとして前回、今回と参加したネットイヤーグループの石黒不二代社長は、「昨年と比べ、広告会社がデジタルにシフトし始めているのを実感した」と述べた。「部長や局長など管理職クラスの参加が増えた」(メーカーの宣伝部長)とする声も聞かれた。一方で、「広告主の参加はまだ少ない」といった意見は前回同様に目立った。
もっとも、欧米の国際カンファレンス経験者からは、「海外からの参加者が少ない」(石黒氏)との声も。「日本に来れば新しいビジネスモデルに触れられると海外の人に思ってもらわないと」(在米マーケティングコンサルタントの大柴ひさみ氏)といった意見も聞かれた。
アドテック事務局は、3回目の開催を2011年10月下旬に都内で開くことも明らかにした。
“他流試合”で登壇者も学ぶ
アドテック東京事務局・武富正人氏に聞く
広告分野のグローバルなカンファレンスはこれまで日本にはなかった。これまで欧米、アジアなど海外のアドテックに参加してきたが、内容を十分に理解するのは難しい。そこで、日本語でわかるアドテックをつくりたいと取り組んできた。
海外からスピーカーが参加することは、来場者だけでなく日本のスピーカーにとっても学びの場といえる。登壇者はそれぞれその分野のプロフェッショナルばかりだが、海外のプロが相手となると手を抜けない気持ちにもなり、やはり当日は緊張するだろう。かつての「日米野球」と同じで、そうした他流試合がレベルの底上げにつながると考えている。
もっとも、こうして海外と交流するようになると、かえって日本のレベルの高さを実感するはず。世界との壁などないと感じてほしい。一方で日本が学ぶべきことは、ビジョンや理念を見据えてビジネスをしているか。この点は参加者にとって刺激になるだろう。
今後については、セッションのレベルをさらに向上させたい。またスピーカー全員がバイリンガルであることが理想だ。業界をリードする人は、海外のカンファレンスでも積極的に日本を紹介してほしい。(談)